第67話第2次スペイン・ポルトガル海戦




オーストラリアは、黒田官兵衛に任せて本国へ戻ることにした。

次の移住者が、そろそろ集まっている頃合だからだ。



天測航法てんそくこうほうで、緯度と経度から進む方向を決めたので、もう見えてもおかしくないはずだ。

双眼鏡で見渡して、ようやく見えてきた。

しばらく進んで、ようやく肉眼でも見えるようになった。


「殿、白浜です!間違いなく白浜です。なんだか涙が出てきました」


なんだ、涙もろい奴だ。


あれ? 誰かが俺を呼んでいる。

もしかして・・・船の人が居ないところに行くと、果心居士が急に現れた。


「なんだ、ビックリした」


「主殿、又もやスペインとポルトガルが大量の船で来てますぞ」


「又も来たのか・・・りない奴らだ。近いのか?」


「中国を出航したばかりで、急ぐ必要があるかと・・・」


そう言って、又も果心居士は消えていた。

何度も驚かせる奴だ。




白浜港に着くと、「本郷水軍を召集しろーー。この書状を急ぎ京へ届けろーー」

あわただしく白浜港が、いくさモードへ入ってゆく。

出航を早めても、ぎりぎり九州の直前で戦えるだろか・・・

出来るだけ努力しよう。




駆逐艦ながしまと伊勢の2隻しか間に合わなかった。

後に駆逐艦は、色々なことに使われていて、後1日か2日は必要だった。


後は帆船15隻と和船30隻の混合船団になってしまった。

これでも瀬戸内海を通りながら集めた結果だ。

ジーッと待つ時間は、無いのだ。


ようやく対馬が見えてきた。


「殿、駆逐艦対馬が向かってきてます」


対馬は、モールス信号で呼び出した。

真っ先に狙われるのは、対馬だから断ることも出来ない。

これで勝ち目は確定だ。



そして、俺のアンテナにもスペインとポルトガルの船が引っ掛かった。


「船長、舵を左に15度で進んでくれ」


「左に15度、確認」




1時間もして、ようやく船が見え出した。


「殿、見えてきました。1、2、3・・・・・・66隻を確認」


「後は魚雷を思いっきり使ってくれ。船長、頼んだぞ」


「はは、皆聞いたか魚雷の準備だ。ながしまにも伝えておけーー」


「了解!」


「・・・・・・」


「魚雷の射程に入りました」


「狙いが定まったら発射しろ」


「船長の命令だ!発射してヨシ!!」


「右に2度だ。上手く当たってくれよ」


発射されると、海面に魚雷が通った白い道が伸びてゆき先頭の船に命中。

船首が爆発して一気に水が入ってゆく。

そして傾きながらじわじわと沈んでいった。


当初は、爆破の威力を大きくする為に、特殊火薬を大量に入れていた。

しかし、木材で出来た帆船には、そんなに大量な火薬は必要ないと思うようになった。

なので、軽く射程が伸びるように改良。

沈めるだけの破壊力で良いのだ。


「早く魚雷を持って来い」


「お前、投入するタイミングが悪いぞ。しゃきっとしろ!!」


「はい、気をつけます」


第2次スペイン・ポルトガル海戦が始まった。

向こうは66隻にも及ぶ船だ。


「こんなに魚雷を発射したのは、初めてだ。2本は外れてしまったが・・・あ!逃げ出したぞ。早く魚雷を持って来い。早くーー」


「よっしゃ!横に向いたどてっぱらに命中したぞ」




「あああ、10隻が逃げた。船長!!後を追わないのですか?」


「殿の命令だ。日本の怖さを知らせる奴も必要らしい・・・」


「そんな・・・仕方ないのかな・・・」


「誰かボートを降ろせ。生き残った乗組員を助けるぞ」



そして、第2次スペイン・ポルトガル海戦は終わった。

魚雷で沈めた数は、56隻。

大砲は50発も撃ったが、命中しなかった。

まだまだ、弾道計算が上手くいっていない。


しばらくして、果心居士のことを強く念じながら呼んだ。


「果心居士!!」


5分後にゆらりと現れた。


「何か用でも、おありですか・・・」


「この書状をスペインとポルトガルに渡してくれ」


そう言って書状を2つを渡すと、スッと消えうせた。


あの書状は、伊賀忍者に書かせた物だ。

以前に捕虜ほりょにした者から、異国の字まで習得してしまった。

伊賀忍者は、それ程に優れた人材が揃っていた。


書状には、戦争を仕掛けた証拠の手紙のことを書いた。

今後の窓口は、対馬で対等な条約を決めよう。

さもないとどんな被害が出ても知らないと、きつく書き終わった。

後は、相手次第だ。





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