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『ただいま』
『おかえりー!』
帰宅するとソファに座るミナが元気そうな声で出迎える。綾が来るからテンションが上がってるのだろう。
時刻は18時、まだ来る時間ではないな。
『意外と早かったね、どうだった?』
ミナが興味深そうに聞いてくる。
『とにかく疲れた…もう勘弁だな』
表情を曇らせて俺がそう言うと、ミナは呆れ顔になった。
『うわ…運動不足の人のセリフだ…』
『俺は運動不足だよ』
図星というより事実を指摘されたのでそのまま返した。
『全く…開き直らないの!』
強い口調でそう言われたが特に開き直ってるつもりはない。というかいつもそんな感じのやりとりはしている。
辺りを見渡すと、朝は着替えや物が散乱していた部屋がかなり片付いてることに気づいた。
『部屋がすごい片付いてるな』
『綾ちゃん来るし、これくらいしとかないとね』
あまり掃除が好きでは無いミナも、流石に来客があると気合を入れるようだ。
『俺の部屋も掃除してくれてよかったんだぞ』
『するわけないでしょ…てゆか部屋に入られても恥じらいすら無いんだねお兄ちゃんは…』
呆れた顔でそう返される。
ミナは立ち上がりキッチンに向かった。
キッチンでは何かをオーブンで温めているようで、その様子をミナは覗いていた。
『何作ってんだそれ』
『グラタンだよ、懐かしいでしょ』
そう言われて鼻を尖らせてみると確かにグラタンのような匂いがした。昔家でお母さんがよく作ってくれた得意料理だ。
『綾くるからグラタンってことか、レシピとかわかるのか?』
『うーんなんとなくね、昔作るとこは見てたからさ、まあ完璧ではないけど』
『楽しみにしとくよ』
『うん、期待しといて!』
えっへんと言わんばかりの表情をする。
ミナは料理が得意なので自信はあるのだろう。
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