第9話 リアコ

今日も私の夫が輝いている


生で声は聴けないけど目を合わせて笑ってくれる


今日は投げキッスまでしてくれた


そんなに私のことが好きなんだね


私も大好き


だから貴方が帰るとき、暗いと襲われちゃうから見守ってあげるの♡


今日も、彼が家に入るまできちんと見送った


彼が家で襲われてないか確認するために庭に侵入する


カーテンの開いた窓から彼の顔が見えた


目が合った瞬間にさっとカーテンを閉められる


照れなくてもいいのに


もっと顔が見たいよ


私のこと、愛してくれてるでしょ


早く彼に会いたくて、何度もインターホンを押した


あれ?


出てくれない......


私のこと嫌いになったのかな?


大好きって言ってくれたのに......


ひどいよ!


私はどんどんとドアを叩いた


それでも彼は出てくれない


しばらくして、サイレンが夜の街に響いた


なにか事件があったのかな?


彼が危ない


私が守らないと!


私はまた何度もインターホンを鳴らす


何十回も鳴らした後、パトカーが彼の家の前......私の目の前にとまった。


私はなぜか連れていかれた


なぜあんなことをしていたのか聞かれて、私は答えた


夫を守るのは当然でしょ?


そう言うと、私は精神科に連れていかれた


医者はこういった


あなたに夫はいませんよ


頭が真っ白になる


夫がいない......?


いや、私の夫は彼よ


彼は私の___


私の____


......あ


そうだ


彼は___




”推し”



いつしか私は、彼に夢中になりすぎて忘れていた


狂っていた


取り返しのつかないことをした


私はそのまま、気を失った














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