第9話 朝の逆転

裁判官が判決を下した「死刑とする」

求刑より重い罰が下される、まさに逆転劇だ。

ざわざわと騒ぐ人達が声をあげた「この国では死刑は廃止された筈だ」

みなが驚愕をして口々にわめいた


裁判官は続けた「たしかに死刑は廃止をされています」

「しかしこの犯人の極悪非道さは人道倫理を絶する所業であり」

「許す事は、国民への裏切りになると思われます」

「死刑という制度では裁けません、死刑に相当する罰とします」

木槌を叩き、判決が決まる


俺の所業は確かに非道だろう、自分でも理解しているが止められないのだ

精神病院での暮らしを覚悟していたが、死刑相当というのは

どのような罰なのだろう、恐ろしさで眠れない。


朝になると看守に起こされた。

「刑務所から出ろ」

「死刑じゃないのか?」

看守が答える

「この国には死刑はない」


何故か放免されると刑務所の外に出された。

青空が広がる、解放感はあるが不安が広がる

刑務所から町へ戻る道を歩くと、道の両脇に何百人も人が立っている

警察官が「囚人が脱走した、捕まえてくれ」と叫ぶ。

市民が俺に殺到をした。

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