第58話 取引

 俺たちは、朝からお肉を口移しでシェアしたり、ハグしたりイチャイチャしてから家を出た。たった一晩で、まるで世界が新しくなった様な。そう例えるなら『新しいパンツをはいたばかりの正月元旦の朝』の様だ。


 もう全てが新しく感じるし、隣にはとっても可愛くて、エロくて、さらにバブみ(母性)を兼ね備えた最高の彼女が居るんだ。これで、幸せじゃない訳がないっ。そんな事を考えながら、思わず口元がにやけてしまう。


「いっくんどうしたの? 気持ち悪い顔して?」


「いや、お前だってしてるぞ」


 隣の彼女をみたら、口元がにやけていた。きっと俺と同じ様な顔をしているに違いないので、そう指摘してやったら『え? 本当っ? ヤバッ。彼氏ヤバッ』なんかちょっと語彙力が無くなってしまって可哀想な子になってしまった。でもそんな姿も愛おしい。付き合う前だったら『なんだコイツ?』と思うような事でも新鮮に感じる。


 そんなやりとりをずっとしながら、俺たちは学校に着いた。

途中、クラスメイトに会った時に怪訝な顔されたけれど、その時は『俺たち付き合い始めたんで』とだけ言ったら納得してくれた。


 ただ、もう座席に着いてしまう。もうお別れだ。


「いっくん。離れたくないよぉ」


「俺だってそうだけど。仕方ないじゃないか」


「えー。もう、席替えしてもらおうよっ。アタシ先生に言ってくるっ。席替えしないと仕事ボイコットするってっ」


「おぃおぃ。ダメだろ。クラス委員のお前がそんな事いったら、みんな困るよ?」


「えぇ、でもー」


「まぁ、我慢しろって、帰りはまた一緒だからさ」


「うん。ありがと♡」


 と言う様なやりとりをリナの目の前でやっていた。

一体、何をしてるんだ俺たちは。完全にバカップルだ。

って、ちょっ! お前、撮っているなっ!?


「リナ! お前さっき撮ってただろっ!?」


「うん。撮ってたよ? 欲しい?」


「あぁ、欲しい! サオリは可愛かったか?」


「メチャ可愛かった。ヤバいね。幸せオーラ出てるよ。あとなんかエロかったっ」


「そうだよな! 昨日から本当ヤバいんだよ。もうっ! ヤバい」


「うん。ヤバいヤバいw 後で送っとくね」


「ありがとう! 検査の上、削除するかどうかは検討させて頂きます」


「ハイハイ、オーケーオケー、テンションあげぽよ? って感じだね」


 ウンウン。本当そうだよ。こんなに幸せになっていいんだろうか?

そんな風に思えちゃうよ。


「いやー。いいなぁ。私も彼氏欲しいなぁ。候補は居るんだけどなぁ」(チラッ)


「ごめん。キープちゃんは首になった」


「え! キープちゃんも首なの? それじゃ、他の男の子を探さないと……ダメ?」


「他の男か………俺が、認めた奴なら良い」


「目の前の男が何を言ってんだか分からない件」


 本当に何言ってんだろうな……自分でもよく分からないよ。

他の男で思い出した。先に伝えないとならない事がある。


「とりあえず、石井君はダメだ。アイツは認めない」


「なんで石井君限定だしw まぁ、石井君は無いけどぉ」


「え? 無いの?」


「有って欲しいの?」


「えっと、一応聞くと何故?」


「ん? なんとなく、コイツで良いかって感じで妥協しそうな所とか?」


 完全に本性バレてますよ!? 石井君!! 俺、なんも言う必要なかったよ!! ご愁傷様でした。来世に期待してくださいっ。さらば友よ。現場からは以上です。


 とりあえず。一安心したので、HRの後にある授業の準備を始めた。

なんか、普通に話してるけれど。そういや隣の娘は昨日、俺たちの情事? を聞きながらオナニーしてたんだっけ? そう思い出してしまって、ついリナの手を見てしまった。。。あぁ、この手を使って、その致してたのかな。そう思うとなぜか高鳴ってきた。


 知ってる女の娘が、俺たちでオナニーしてただなんて、一体どんな状況だ。しかもその本人が今は隣にいるんだ。


「いった君どうしたん?」


「い、いやなんでもねーし」


「キョドッてるよ?」


「だからなんでもないってば」


「さっきから、手を見て………って、もしかして?」


 そう言いながら、リナは手を自分の口にあててから、そして下の方へ徐々に持って行きながら、俺を見つめ続けて居る。そうして、下腹部のあたりに行った所で、思わず目を逸らしてしまった…………。


「ハハーン、ここかなぁ?」


「ん”んん”” そろそろ授業の時間だろ?」


「あんっ♡」


 いや、まってココ教室だよなっ? そう思って、またリナの顔を見てしまったが、それはちょっとイジワルしてやろっ。と言う気分を全面に出した。人の悪い笑顔をしていた。例えるなら、八重歯が、生えてそうな小悪魔的な笑顔と共に可愛くささやいて来た。


「ねぇ、またシたいな」


「……何をだよ………」


「通話しながらさ、シしたい」


「俺じゃなくて、サオリに聞いてくれよ」


「サオリちゃんが良いなら良いんだ?」


「良いとは言ってない。けど、悪くは無かった………」


「そう? じゃもうやらない」


 え? と思って、咄嗟にしてしまった顔がきっと物欲しそうな顔をしていたんだろう………「嘘だよ。嘘。ちゃんとシてあげるから♡」と、言われてどこか安心してしまった。



つづく

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あとがき


え! またテレセク出来るのっ!

超嬉しい!

とか思いつつ、ママの許可が必要だから

ちゃんと答えられない旦那さん

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