大陸歴七八三年。
リンゼイア大陸盟主ラディック王国の西の守り、カルネディオ城が一夜にして消失。跡形もなく焼き尽くされる。三賢者が一人、スフィーリアの賢者はその焼け跡に禁忌の大魔術の痕跡を感じ取っていた。
現在公開されている分を読み終わりましたが、おもしろいです!大国同士や登場人物達の思惑が絡みあい、世界が大きく動き出していく、その重厚な感じがたまりませんでした!
物語の世界を形作る設定も固く、本格ファンタジー好きならば引き込まれること間違いなしです。
少し本文を引用しますと……『まず最初に書いた文字は【サゥカ】だった。次に【ナヴァー】、さらに【ウルケ】と続けた。紛うことなき、エルフ文字だった。』
種族ごとに言語が異なる、という(拙作も含めて)ファンタジーではスルーされがちな設定もこういうふうにさらっと、しかししっかり描写されているのです!
古き良き本格ファンタジーをお探しの方!
ここにありますよ!
この作品を読んで一番に注目したのは世界観や人物像の細やかさでしょうか。
とにかく設定が突き詰められていて驚きます。数多登場する人々の来歴、作中における魔術の扱い、国家関係や過去の戦争について。作中世界にリアリティを持たせています。
ストーリー展開としては、誰か特定の人物を主人公に据えるというよりは、戦乱に向かってゆく世界の中で、大きな役割を担う登場人物たちが各々の使命のために動き、それぞれが絡まり合ってゆく様を大局的に見た物語です。
前述の設定がしっかりしているからこそ、それぞれの行動や動機に説得力がうまれてくるもの。長大な設定だけに、流し読みするようなことは困難と思いますが、読み応えという点では読者の期待を裏切らない作品に違いありません。大ボリュームのファンタジーを読みたい人におすすめです。
月の名を冠する3賢者。最初は、彼らが中心となり物語が進んでいくのかと思いましたが、賢者の一人・スフィーリアの賢者が主に活躍していくようです。最強と呼ぶにふさわしい謎多きレスティー。聡明な王女にして、第一騎士団を率いるセレネイア。暗躍する暗黒エルフや野心家のイプセミッシュ王。個性的な登場人物がたくさん出てくるところも本作の魅力の一つです。
各々の目的のために行動していく登場人物たち。五大国それぞれの動き、人の体を乗っ取り精神を操る魔霊鬼が、王国内部に入り込み混乱を招く中、彼らがどのように関わり、物語が動いていくのか。
長編ではありますが、先が気になって仕方がありません。
西洋ファンタジーが好きの方は、必ずハマる作品だと思います!
「超」良質なファンタジー小説。
もうこの一言に尽きるでしょう。
細部に至るまで考え抜かれた設定に脱帽です。文章は硬めですが安定感があり、とても分かりやすいです。
キャラクターもしっかり魅力的に書き分けられており、「あれ、この人誰だっけ?」と迷うことがありません。
セリフを読んでいても、一人一人ちゃんと違った声が聞こえて来るんですよね!
ファンタジー小説って、かなり書き手を選ぶものだと思うのですが(世界観や魔法等の描写が大変)……水無月さんは凄いですよ。
まあとにかく、読んでみてください。
一ページ目からフワッと夢の世界へ飛び立つことが出来ますから。
「もっと読みたい気持ちを高めたい」「ドキドキし過ぎると疲れちゃうので、安心した気持ちで読みたいなぁ」という読み手の皆様にはお勧めです。
物語は腐れ外道の城主配下が無茶苦茶をやっているところから始まります。
「ほうほう、この腐れ外道が、主人公の初生贄になるのですね」と思っていたら『ズドォォォン』と強烈な一撃が落ちてきました。
「何か起きたのだろうと???が頭の中に点灯し、あれ、思っていたのと全然違うじゃん。」
次に私は「犯人は誰なんだ、早く教えてくれ」と思い読み進めますが、その『ズドォォォン』がトリガーとなり、いろいろな物語が始まります。
「いや、いろいろな物語はいいから、私は犯人が知りたいのだ」と思うのですが、そのうち「あれ、このキャラもだんだん気になり始めたぞ」となりました。
あっち、こっちで問題が勃発し、「誰が最強なんだ?」というか「主人公は誰なんだ?」と私の思考が瞑想・迷走しはじめていきます。
(ここまで書いた内容は90%以上は合っているはず。)
是非、一読してみてください。