第244話:後顧の憂いを断つ
迎え撃つまでもない。
その完成度は似て非なるもの、ザガルドアのそれは奥義と呼ぶにはお粗末なほどに未完成だった。現継承者と破門されたかつての序列五位では比較にさえならない。歴然とした差が横たわっている。
さらにロージェグレダムは
第二解放時の
第一解放時は主物質界で炎が持つほぼ最低温度に近い。それが第二解放時となると、およそ十数倍に一気に膨れ上がる。
それに伴い色も変化する。第一解放時のそれが
剣閃は消えない。
炎熱の
「
超高温の針雨が
≪残念だがこやつは邪気に寄っている。邪魔な邪気だけ消し去ってやろう≫
ロージェグレダムががビスディニア流の現継承者として放つ
一方で、剣匠として
すなわち三つの雨から構成される。一閃目は驟雨、二閃目は篠突く雨、そして三閃目は特殊な
「まだ終わっていないぞ。
その最適解を
「ほうほう、面白い記憶があったわ。これならどうだ」
粘性液体を剥ぎ取られた
まさに三閃目、黄青雨が放たれようとしたその時だ。
そこに立つ姿を目の当たりにして、ロージェグレダムは思わず
「随分前に食ったこの者の中にお前の顔があったわ。知り合いというわけでもあるまいに、何とも不思議だな」
この
(こうなるは運命であったか。のう、ゴドルラヴァ殿よ)
あの時のレスティーの言葉が浮かんでくる。レスティーは最後に言ったのだ。
≪ロージェグレダム、
己の決断に間違いはない。今でもその想いに変わりはない。信念をもってそう言い切れる。
その結果が眼前に広がっている。ゴドルラヴァは
≪迷ってなどおるまいな。もはやあれはあの時の
当然だ。理解している。
「儂はな、温厚なのじゃよ。たとえ敵であろうと、情けをもって苦痛を与えずに滅するのが心情じゃ。じゃがな、お主だけは決して許さぬ。儂の友を侮辱した罪は重いぞ、
ゴドルラヴァの姿を
「
ロージェグレダムの全身から
(
大きなため息が聞こえてくる。
≪貴様の好きにするがよかろう。一つ貸しだぞ。忘れるでないぞ≫
「今、ここで後顧の憂いを断つ」
触れた
さすがに
「何だと。馬鹿な、このようなことが」
≪この
「ふざけるな。弱者は大人しく従っておればよいのだ。くそ、
そうだ。ゴドルラヴァの
≪ロージェグレダム殿、私を友と呼んでくれた唯一の人、貴殿にあの時の約束を果たしていただきたい。この力はまもなく失せる。その前に私をも≫
ロージェグレダムはただ一度だけ小さく首を縦に振り、瞳を閉じていく。
「
ロージェグレダムが改良に改良を重ね、唯一命名した剣技だ。
張り詰めた空気を切り裂くがごとく、
その時、雪氷嵐は動きを止めた。大気は
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