第238話:星煌剛玉破晶剣の第一解放
不規則に
さらに
「
面倒だとばかりにため息をつくロージェグレダムだった。視界を完全に
ロージェグレダムは身長と同じ長さの
久方ぶりの魔力を浴びて、
≪貴様、ようやく魔力を注ぐ気になったか。遅い、遅いぞ。遅すぎる。余は魔力をもってこそ真の威力を発揮するのだぞ。分かっておるのか≫
だから嫌なのだ。
お
ロージェグレダムは大師父たるレスティーに懇願したものだ。何とかならないのかと。レスティーは僅かに笑みを浮かべ、首を横に振るだけだった。その時のロージェグレダムの落胆ぶりときたらだ。
さらに深いため息を一つ、仕方なく応じる。
「うるさいわ。だから、お主は嫌われるんじゃ。呪いの
魔力を注げば、別の意味での能力も発揮する。飽くことなきお喋りの始まりだ。しかも、喋り続けている間、常に魔力を食らうのだ。
それ
≪
萎えているとはいえ、放置するはずもない。すれば、久方ぶりに注ぎ込まれた魔力を堪能できなくなる。使い手そっちのけにして自ら率先して行動する。そこもまたロージェグレダムの悩みの種だった。
「お主、勝手に動くでないわ。滅するに変わりはないが、少しは待たぬか」
これでは立場が逆ではないかと思うロージェグレダムだった。
「
≪来るぞ。早々に余を解放するのだ≫
剣身が音を立てて大きく揺れている。
「よかろう。存分に食うがよい」
右手一本、ロージェグレダムが
≪その言葉、待ち
剣身の揺れが収まり、音も静寂へと移行する。変則から正則へと転じ、そして
「
大気の力を内包するラ=ファンデア、大地の力を内包する
今やロージェグレダムを中心に、
≪
大地という名の刃がロージェグレダムを包むようにして踊り狂う。まさに狂喜乱舞と呼ぶに
ロージェグレダムは静かに目を閉じ、剣身のない
「
四方より押し寄せた肉片がロージェグレダムを完全に覆い尽くしている。中の様子は
この状況になった以上、もはや終わったも同然だ。既に勝利を確信したか。この場を去ろうと
「
声は間違いなく肉片の中に閉じられているロージェグレダムだ。
それは初めて味わう屈辱にも似た感覚だ。これまで
触れた部位から肉も血も、あらゆるものを吸い尽くす極悪な攻撃を前にしては、歴戦の武人であっても
「馬鹿な。既に肉片で埋め尽くしているのだぞ」
「間違いない。肉片は
直後に大地が激しく
再びロージェグレダムの声が響いてくる。
「感覚共有も万能ではないようじゃな。ならば、直接見せてくれようぞ」
≪いつまで待たせるつもりだ。もうよいであろう≫
「あ、おい、お主、待たぬか」
時すでに遅し。揺れはそのままに、方向が横から縦に急変する。それはあたかも大地の息吹だ。重低音を伴い、真下から突き上がるは
雪煙だけではない。ロージェグレダムを覆い尽くしていた百余の肉片ことごとくをはるか上空へと
ロージェグレダムを吸収するどころか、
「いい加減にせぬか。毎度ながら、どうしてお主はそう先走るのじゃ」
使い手の意向など関係ないとばかりに、己さえ満足できれば問題なし。それが
「だから嫌われるのじゃ。お主、自覚はあるのか。まあ、ないであろうな。よいか、儂でなければ、とうに見限っておるところじゃ」
≪何を言うか。これでも余は貴様のためを思って働いてやっておるのだぞ。余の苦労も察せよ≫
再びの深いため息、ロージェグレダムは苦笑するしかなかった。
「分かっておるわ。お主とは長いつき合いでもあるしな」
「
魔霊鬼の全身が急激に
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