第56話 突然の乱入

「ところで~エクレアってネロのことどう思ってるのぉ~?」

「ブッ!」

「スピィ?」


 ガイとセレナが帰った後は残ったフィアがエクレアとお酒を酌み交わし楽しそうに笑い合っていた。


 女の子同士息が合うと話も弾むようで僕は聞き役に徹していたんだけど、突如フィアがエクレアにそんなことを聞き出したんだ。


 いやいや、どうってどういう意味!? 思わず吹き出しちゃったよ!


「ネロは、その、い、今の私にとって掛け替えのないパートナーよ!」

「ふ~ん。そうなんだ。良かったねネロここまで言ってもらえる仲間が出来て」


 横目でフィアが僕に言ってきた。ま、まぁそこまで言われると勿論悪い気はしないし嬉しい限りなんだけどね。


「フィアはどうなのよ。前のパーティーで一緒だったんだしネロとはどうだったの?」

「え? 私、私は……結局追放に同意しちゃったしね」


 エクレアに聞かれうつむき加減にフィアが答えた。もしかして僕が追放されたこと気にしてるんだろうか……?


「えっと、何かごめんね。変なこと聞いちゃって」

「ううん。そんなことないよ」

「あ、えと、ほら! 追放はされたけど、今はお互い元気にやってるんだし。おかげでエクレアとフィアは仲良くなれたし、それに僕はもう気にしてないからさ!」

「「…………」」


 何か微妙な空気になって僕も思わず口を出しちゃったよ。二人が沈黙し僕を見てきてる。


 ま、不味い何か余計なこと言っちゃったかな!


「ププッ、もうネロっては相変わらずだね。何か安心しちゃった」


 するとフィアが吹き出して昔を思い出すように話をした。


「うん。ネロはこうでなきゃね」

「スピィ~♪」


 エクレアがスイムを抱えながらそんな事を言った。う~ん二人から僕は一体どんな風に見えてるんだろう?


「いいなスイムちゃん。私も撫でていい?」

「勿論よ。スイムちゃんも喜ぶと思うよ」


 そして二人はスイムを無であっていた。スイムは皆から愛されてるね。


「お客様。宜しいですか?」


 すると店員が近づいてきて声を掛けてきた。何かあったかな?


「実は先に出たお客様が代金を支払ってくれたのですが大分多かった物で、もしお知り合いならお釣りを渡しておいて頂けますか?」


 それを聞いて驚いた。確かにガイがそんな事を言っていたけど本当に支払っていくなんて。


「えっと、それならフィアがいいかな?」

「うん。それなら最後に私が預かるね」

「良かった~では宜しくお願いします」


 店員が安堵して去っていく。


「その、僕たちの分は後で支払うから」

「そんなの気にしないで。というかガイがそうしたいのよ。だから支払っていった。あいつプライド妙に高いからネロから受け取って戻ったりしたらまた機嫌悪くなっちゃう。だから今晩は奢らせておいて」


 フィアが苦笑いして伝えてきた。う~ん、そう言われてしまうとガイならありえるか……フィアに逆に迷惑を掛けてしまうのもね。


「それならネロ。今度の機会に逆に私達で出そうよ。それなら文句は出ないでしょう?」

「う~ん。そうだね。ならそれで」

「あはは……うん一応伝えておくね」

「というか私、フィアにはまた会いたいし」

「嬉しい私もだよ!」


 あ、もうそれぞれ普通に名前で呼び合う仲になったんだね。ただ僕を追放したガイが次も食事を摂ってくれるかなんてわからないんだけど――


「ちょ、お客様困ります――キャッ!」

「おいお前何して、うわっ!」


 あれ? 何だろう? 何か急に悲鳴が聞こえてきた。出入り口の方だね。確認の為見てみたのだけど。


「「「「「「グォオォォオオォォオォオオ」」」」」」

「うわ、な、何だ何だ!」

「こっち来るな!」

「暴徒がなだれ込んできたぞ!」


 一瞬にして店内がパニックに陥った。何だか正気ではない目をした連中が店内で暴れ始めたからだ。中には武器を持って振り回しているのまで!


 これって一体どうなってるの――

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