第9話 世界最うまメシ

リュウイチは焦った。そしてレシピ作りに没頭した。夫婦なかが悪くなるくらいに没頭した。

最初は日中にレシピを考案していたが、どうもモリアガリそうな料理が作れなかった。

妻は「そんなにこんをつめないほうがいいよ」とアドバイスした。

リュウイチは「そんなこと言ってもしょうがないだろ」と反論した。

リュウイチは、信也に戻り、レシピ作りが深夜にづれこむようになった。

深夜にレシピを考案している信也は、また自分が信也か深夜か分からなくなっていった。

すると深夜の闇を伝わり、全てを掛けた信也に、全てのマルチバースの信也から思いが伝わった。

深夜になった信也はひたすら納豆をかき混ぜた、空気が入り込み粘りが白くなる、そこに父が買ってきた東京駅土産のわさび漬けを投入する。さらに混ぜるとフワッと膨らむ。

「う、うまい、なんだこのまろやかで上品な一体感は?」最うまメシは完成した。

コンテスト結果発表日、信也はわさび漬け納豆ご飯を妻に振る舞う。

結果は9位だった。

落胆する信也に妻は「私にとってはこれが世界最うまメシよ」と言った。信也は「これからどうしよう」とつぶやく。妻は「貯金も多少あるし、また新聞配達でもやればいいじゃない」といった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る