23-4 今後の方針

 ソリトから魔法陣について聞き出したことを支部長とセシリアに伝える。レイルは、娼婦を送っていったので、ここにはいない。


 「この1番の魔法陣は、3日かけて魔素を吸い込んで爆発するそうです。門の近くに隠すよう言われてたってことなんで、門を壊すか、爆発騒ぎで門番が混乱してるうちにフリードが街に入るってことなんでしょう。

  2番の魔法陣は、広げると光がどこかに向かって伸びるんだそうで。自由に止められないから折りたたみ式なんでしょう。


  で、3番の魔法陣は、魔石を載せるとなんらかの形でフリードに位置を知らせるようになってます。

  2番で見付けた場所を、3番で知らせるってわけです。

 つまり…」


 「封印のありかを探せる魔法陣というわけか。

  3日で爆発するってことは…」


 「3日で準備が終わるからってソリトあいつは言ってました。3日後には攻めてくるってことです」


 「日がないな。

  だが、封印のありかを探す方法が手に入ったのは、運が良かった」


 「封印を探して、敢えて別の場所にフリードを呼び寄せるって手が使えるかもしれませんね」


 「別の場所、か」


 「少なくとも封印の場所を把握できるのは大きい。場所さえわかれば、何を守ればいいかもわかるかもしれないし」


 「できれば、街の中で大規模な戦いは避けたいところだ」


 「とにかく、封印の場所を見付けられる魔法陣を試してみましょう」


 そう言って、逆五角形の結界から、二つ折りの魔法陣を取り出そうとしたところにレイルが戻ってきた。


 「ソリトあの男は、3日の間、フリードは隠れてるって言ってた。

  つまり、たとえ今日封印が見付かっても、隠れて待ってるってことだよね。なんで?」


 「爆発する魔法陣が魔力を溜めるのを待ってんじゃねぇのか」


 「バッカじゃないの?

  それくらいなら、魔石で発動するようにすればいいじゃんか。

  間抜けな部下が1人死んだって、フリードは困らないよ」


 レイルの言葉に、支部長は顎に手を添えながら何か考えてるようだ。


 「3日間待って変わるもの……外の魔法陣が完成するのかもしれんな。

  フォルスの結界を見れば、5つの頂点に魔力が満ちることで完成するようだ。

  すまんが、明日にでも様子を見に行ってもらえるか」


 魔素溜まりが作る魔法陣が3日後に完成する可能性がある、か。

 たしかに、魔力が走るのが微妙に早くなってきてるような気はするが、明日じゃ早過ぎんじゃねぇのか?


 「支部長、何度も行き来するのは時間が惜しい。明後日の朝、様子を見に行くってことでどうです」


 「…まあ、その方が差がはっきりわかるだろうが。

  いや、やはり明日、朝一番で頼む。

  さて、それでは封印の場所がわかるという魔法陣だが」


 そう言うと、支部長は結界モドキの中から二つ折りの魔法陣を取り出して広げた。


 「光らんな。フォルスには何か見えるか?」


 「魔素が空なんでしょう。しばらくすると光ると思いますよ。

  とりあえず、爆発する魔法陣は、どこに置く気です?」


 「門の近くで、なるべく周囲に影響のないところを探す。

  囮とはいえ、門を吹き飛ばされてはかなわんからな」


 「今後の方針は?」


 「こいつで封印の場所を探すのが第一、フリードを誘き出す場所の選定が第二、迎撃要員として高ランクの剣士を数名、念のため、封印の場所を守る者の選定、あと、できれば北の森の魔素溜まりを君の結界で囲っておきたい」


 「俺達が行くんですか⁉︎」


 「そういうことになるだろう。なにしろ、結界が完成すれば、君達は戦えん」


 「そりゃそうですが」


 「とはいえ、色々と当てにはしている。囲ったら戻ってくれ」


 「戻るんですか? 囲った魔素溜まりを放置して?」


 「そうだ。

  どのみち破壊できるまでにはそれなりの時間が必要だろう。こちらで君達の力を必要とする可能性もある。戻ってくれ」



 なんて言ってるところに、本部からの使者が到着したと連絡が入った。




次回予告

 魔法陣の調査と破壊のために町を出たフォルスとレイルだったが、事態は2人の想像を超えていた。

 孤立無援でフリードと対峙するハメになった2人。

 次回「ごつひょろ」24話「襲撃」

 「正当なる結界術の偉大さを見せてやろう」

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