7話 魔法陣
7-1 ギルドへの報告
街に戻った俺達は、ギルドでセシリアを呼び出した。今回はレイルも一緒にいる。
「仕事は終わったんだが、いくつか報告がある。まず──」
例の剣士2人のギルド手帳をセシリアの前に出す。
「この2人ともう1人の魔法士に襲われた。
魔法士は、この前の魔狼の時にリーダーがやられたってパーティーのサブだった奴だ。
どうも、リーダーの死が俺達のせいだって感じの言い方で襲ってきたから、この2人もそのパーティーのメンバーじゃないか?」
セシリアの表情が硬い。
「襲われたということで間違いありませんね? それでお2人がご無事ということは…」
「返り討ちにした。3人ともだ。
そして、2つ目の報告だが、それに関係ある。
今回の確認対象の黒い円板だが、こんな模様が書き込まれていた。
それにな、魔法士の死体から流れる血を吸い込んでいたんだ。信じられない話だろうが、事実だ。
俺の攻撃で奴の体は斬り裂かれて落ちたんだが、流れた血が円板に吸い込まれて、そのまま頭が引っ張られるみたいに動いた。まるで、体ごと円板に吸い込もうとしてるみたいにな。
剣を投げても跳ね返されるし、魔法で焼こうとしたら火の玉まで吸い取られたんで、血が円板に触れてなかった両足と左手だけ魔法で焼いてきた。
念のため、剣士2人の死体も焼いてきた。
そっちは知らない顔だったんで、一応手帳だけ回収してきた。確認してくれ」
セシリアは、相変わらず硬い顔でしばらく考え込んだ後、口を開いた。
「正直、すぐには信じられないお話です。
特に、その円板ですが、魔法や人の体を吸収する板など聞いたことがありません。
フォルスさんの仰ることですし、信じたいのは山々ですが…。
それに、イアンさんのパーティーの方々が襲い掛かったというお話ですが、そもそもどうしてフォルスさん達の居場所を知っていたのでしょうか?」
「それについては、むしろこっちが聞きたいところだがな」
「とりあえず、私ではどうにもならない案件になりますので、支部長に直接ご報告いただけませんか? 今、時間が取れるか確認いたします」
「わかった」
まぁ、簡単に信じてもらえるとは思ってなかったし、それはいいんだが。
支部長ね。セシリアならともかく、支部長が信じてくれるかねぇ?
ほんの少し待たされただけで、あっさり支部長のところに連れて行かれた。
「その円板に書いてあったという模様と、剣士2人の手帳を見せてくれ」
と言われて、写しと手帳を渡すと、支部長はセシリアに
「大至急、洞窟に人をやって確認させろ。円板の周りの死体の状況を、だ。円板があって、その周りに死体があるという以外、教えてはならん。それと、円板や死体には触れさせるな」
と指示し、セシリアは部屋を飛び出して行った。
それと入れ替わりに別の職員が入ってきて、支部長に紙を渡してまた出て行く。支部長は、渡された紙と手帳を見比べて
「イアンのパーティーの剣士に間違いないな」
と言った。やっぱりか。
「6級の、フォルスだったな。
円板に見覚えはないんだな?」
「ありませんね」
「この円板の模様、どうやら魔法陣のようだ」
「魔法陣? なんです?」
聞いたことないな。
「魔力を練らずに魔法を使うための道具だ。
あの模様は、特殊な文字という説があってな。なんらかの魔法と同じ効果を生む。
何の魔法かは調べてみんとわからんが、それが魔法を吸収した可能性はあるな」
なんてこった。
「魔力を練らずに魔法を使う方法が? しかも魔法を吸収する魔法なんてあるんですか?」
「わからん。残念ながら、魔法陣の研究は進んでいるとは言えん。
ともかく、更に調査が必要ではあるから、報酬は確認が終わってからになる。
イアンのパーティーの件についても、調査の上だな。
調査には日数が掛かるだろうから、結果が出るまでは羽を伸ばしているといい。
一応、街からは出るなよ」
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