6-R 理不尽な奴ら(ノイン視点)

 イアンの仇どもが南東の洞窟を調べる依頼を受けたそうだ。

 この前は平原だったから妙な罠に掛かったが、洞窟ならそんな心配はない。

 3対2だ、元々こっちが多いところに、あっちの剣士は小柄でスピードを活かした戦いが得意だそうだからな。洞窟みたいに狭い場所では、2人がかりなら絶対に勝てる。

 あの剣士にしか見えない魔法士の方は、俺が魔法で抑えれば問題なかろう。




 この前の失敗を踏まえ、十分に距離を取って後を尾ける。

 奴らが洞窟に入ったら、ヴァイとライが逃げ道を塞ぐように前に立って追って行く。


 妙だな。この洞窟、やけに魔素が少ない。

 つい最近、戦闘でもあったか? この魔素の量では、大した魔法は使えないぞ。


 「ヴァイ、ライ、魔素が少なくて、魔力を練るにも時間が掛かりそうだ。

  でかい奴が魔力を練っている間に片付けろ。でかい方は魔法士だが、剣も使えるかもしれんから気をつけろよ」




 おかしい。ちっとも追いつけない。

 そうこうするうちに、洞窟の奥に着いてしまった。どういうことだ!?


 「おい、ノイン! いないぞ!?」


 ヴァイが騒ぐが、俺だってわけがわからない。


 「俺達に何の用だ?」


 なぜか背後から、仇どもが現れた。まぁ、どこから来たんでもいい。見付けたからには死んでもらうだけだ。


 「貴様ら、よくもイアンを! 仇討ちだ、覚悟しろ!」


 「言っとくが、あんたらのリーダーを殺したのは魔狼だろ。俺達を恨むのはお門違いじゃないか? 武器を捨てて帰るならよし、そうでなければ返り討ちだ。あんたらに勝ち目はないぞ」


 虚を突かれたが、ぺらぺら喋ってたのが運の尽きだ。不意を突かれたらヤバかった。

 合図と共にヴァイとライが走り出す。

 風の刃を…風の…どうなってる!? 魔素が全然ないぞ!

 目の前でライがチビに真っ二つにされるのが見えた。

 そして、全身に熱い痛みを感じ、次に見たのは、地面に放り出された俺の足だった。

 ちくしょう、あいつら、一体何をした?


 目の前が…暗く…

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