第3話 人に言えない内緒の話 初めての・・・

 頭の中でホワイ〇ベースの警告音が鳴っている・・・黒い霧をマークしている異常活動アラーム、言わずと知れた警報だ・・・

どこかの宇宙で、基準を超えた黒い霧の活動が起こったのだろう。



 システムを確認し宇宙の場所を特定、数多ある銀河の中で複数の場所において活動が起こっているようだ、とりあえず状態を見てこようと対象宇宙に飛び込んだ。


 基本的にこの宇宙は魔法中心、クリスタルのエネルギー供給は多くたぶん魔法が一般的だろうと予測。

 ふと、立ち寄った惑星は地球の中世くらい、ああやはりテンプレな感じか? 魔法中心で発展している社会はあまりないようだ・・・


 黒い霧をまとった人々や動物が徘徊している、あちらこちらで残虐な行為も起こっているようだ・・・


 んー、とりあえず次に行こう。


 ここも、中世レベルだな・・・

 やはり、黒い霧をまとった人々が徘徊をしている。


 うん、次。


 ここは、少し発展している感じがする、石作りの建物の間にコンクリート製のビルが立ち並び 近代に近い感じがする。

 まあ、黒い霧に侵されて人々は争っているようだが・・・

 結構範囲も広いし面倒だな・・・


 いくつかの銀河を範囲に入れて、浄化だがどのくらいの力が必要かな?

 まあ、浄化だし良いか・・・


 世界が金色の光で包まれた、大きな銀河を含め3つ程が光に飲み込まれていく・・・・




 そして、黒い霧を纏った魔物はすべて消滅した・・・・が魔物だけではなく人々まで・・・3つの銀河から生物が・・・生きとし生けるものがすべて、この瞬間消滅した・・・


 文字通りすべてが浄化され、非常に清涼な空気を持った廃墟がそこに佇んでいた。




「あれ?」


・・・・・・



「なんで・・・」


 



 カルタゴの街に暮らすスキピオは、朝からの喧騒で目を覚ました。

 鍛冶職人のスキピオは、数時間前まで今日納品予定の剣を研いでいたため、眠りについてまだそんなに時間がたっていない。

 なんだって言うんだ、朝っぱらから・・・


 戸を開けて外を確認すると、黒い霧を纏った動物や人が次々と人々を襲っている。

 一体何が起こっているんだ?


 手近にあった剣をを掴むと、すぐそこで襲われそうになっている女の子を助けるために、黒い霧を纏った男に切りかかった。

 だが、少しくらい切られても怯むことは無く、男はスキピオに向かって来始めた。


「ええい、仕方がない」


 スキピオは向かってくる男の首をはねた・・・


「お嬢ちゃん大丈夫か?」


 先ほど、襲われていた女の子に声をかける。


「うっうんっ、大丈夫だけど・・・お父さんは死んじゃったの?」


 しまった! さっきの男はこの子の父親だったのか・・・しかし・・

 振り返ると、首をはねた死体が突然襲い掛かって来た・・・


 とっさに剣を盾にして、顔に向かってくる手による攻撃を防ぐ、しかし男の纏っている黒い霧がスキピオに降りかかってくる・・・

 しばらく力比べのような状態でいたが、スキピオは首のない男を異常な力で蹴り飛ばす。


 スキピオは振り返ると、女の子に黙って剣を振り下ろした・・・・


 町中に向け、剣を持ったスキピオは歩きはじめる・・・体中に黒い霧を纏いながら・・・




 ペルディーダの町は、昨日まで行き交う人々でにぎわっていた、ここはちょうどいくつかの町に向かう分岐点となっており、大量の物が売買される市が立ち交易の中心となっている。

 シウダーは、いつものように商品を並べた小さな店の戸を開いた・・・・

 そこに居たのはいつもの溢れかえる客ではなく、黒い霧を纏った人々が殺し合いをしている風景だった・・・


 シウダーは慌てて戸を閉める、つっかえ棒をして戸が開かないようにした後、すぐに店の裏へと走り出した、やばい裏が開けっ放しだ・・・間に合ってくれ・・・

 裏口の扉から狭い裏道へ首だけを出し、人影がない事を確認すると裏口のドアも閉め、ため息をつきつつ裏口のドアにもたれかかりながら、ずり落ちるように座り込む「何だっていうんだ一体・・・」ぼやきながらふと顔を上げる・・・目に映ったのは霧を纏った男が襲い掛かってくる姿だった・・・




 イーリアスでは、バタバタと人が倒れていた・・・

 昼頃から、北側にある国からこちらに超えてくるには比較的難所と呼ばれる山の頂を、いつも発生する霧とは違い黒い霧がこちらに向けて下ってきているのが見えた。

 トロイアはその光景を現実とは思えず、ぼーっと眺めていた・・・唯その霧が城壁を超え町中に入ってくると、バタバタと人々が倒れはじめ、人々は南側の出口に向けて走り出す。


 黒い霧の速度は緩やかに見えるが、地面を這って来る速度は速く、逃げることは叶わないとトロイアは考えすでにあきらめていた。


 もう少しで、黒い霧に飲まれると思った瞬間・・・視界が金色の光に包まれ、すぐそばまで来ていた黒い霧が青白い炎を出し、まるで燃えるように消えて行った・・・


 トロイアは金色の光に包まれながら、今まで感じたことのない多幸感に包まれていた。

 まるで、全てと一体になるような、体が体の枠を超えどこまでも広がっていくような感覚を感じながら・・・・・意識を手放した・・・・





「まっまあ、誰にでもミスはあるよね~、初めてだったし・・・当初の目的である浄化はできた・・・うん」


「あ~今度は気を付けよう・・・・」

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