特殊能力を授かった聡明な少年と、狼犬が変化した美しい少女が、次々と迫る脅威に立ち向かいます。
迫力ある冒頭にいきなり頭をがつんとやられ、そこからはもうぐいぐいと壮大な物語に引き込まれていきます。
合間合間にテンポのいいコミカルなシーンがあることもあり(声に出して笑ってしまうので、電車内や会社で読むときは覚悟が必要です)、わくわくしながらどんどん読めるのですが、物語や世界は非常に緻密に練り上げられており、どっしりとした安定感があります。
息遣いがすぐそばで聞こえてきそうなほど迫力のあるアクションシーンや、美しい自然描写、そして細かなところまでリアルなディティールのひとつひとつには唸ってしまうほど。
登場人(動)物たちも皆、魅力的。個人的には、力強く前に進む主人公の蒼仁少年と、登場と同時に笑いがこみ上げてくるハム氏がお気に入りです!
これから、どんなことが待ち受けているのか。世界はどうなっていくのか。
楽しみです!
極光の異常「闇のオーロラ」に端を発する原因不明の気候危機、太陽光消失(サンライズ・ロスト)の瞬間に巻き込まれた少年、蒼仁(アオト)の運命を描くスペクタクル・ファンタジーです。
数多の国際機関、研究機関が総力をあげても、極北の気候危機は正体をつかめません。そんな中、気候危機の発生で父親を亡くした蒼仁は、運命の地である極北を再び訪れるため、研究者の道を志します。
正しい方向を見て、進むためにできることを、できる限り積み重ねる。少年が始めた戦いに、運命の方が引き寄せられて、物語が展開します。
突如として日本の学校に現れる異界の脅威から、蒼仁を救ったのは、白い髪の少女シェディスと、蒼仁自身に目覚めた不思議な召喚の能力でした。
少年と少女の運命の戦いが、今、始まる……なんて、王道少年漫画のアオリ文みたいな雰囲気を、重要キャラっぽいしゃべるハムスターが散らかしたりもします。
個人的には、頭脳明晰で預言者なツンデレ美少女パーシャちゃんが、空気を読みながら微妙な矢印を蒼仁に向けてくれたりすると萌えます。ロリコン疑惑の保護者が、空気を読まずにカラんできてもまた萌えます。閑話休題。
雄大な自然の描写と、全地球規模のカタストロフ、ひたむきなキャラクターたちと華麗な戦闘シーン、そして落差が可笑しいコメディパートと、作者さま持ち前の魅力が如何なく発揮されている本作、みなさまも是非、開幕に立ち会い、冒険を共に致しましょう!