英国、スチームパンク、ケモナーの三食丼!
- ★★★ Excellent!!!
硬派な舞台設定にもかかわらず、するすると頭に入ってくる文章力が光ります。
蒸気と霧のロンドンを舞台に、武器商人と半獣人の少女が出会う――という導入ながら、決してファンタジーに逃げるのではなく、帝国主義、差別、格差、資本主義、教育といった現実的なテーマに真っ向から切り込んでいるのが魅力的でした。しかもそれを理屈っぽくではなく、キャラのやり取りの中で自然と伝えてくる。まさに“読ませる技術”が詰まっていると感じます。
武器商人カネトリの“変態紳士”としてのユーモアと、急進的平等主義者としての本音が絶妙に同居しており、読者の笑いと感情のツボを同時に突いてくるところも素晴らしかったです。
どこか『名探偵ホームズ』や『カウボーイビバップ』的な空気を感じさせる、スチームパンク×ケモナー×異文化交流バディものとして、個人的にはどストライクな設定でした。