第70話
name:トルサ
age:38
job:農民 (41/100)
lv:17
exp:14/6800
skill:-
HP 28/28
MP 5/5
STR:29
VIT:17
INT:8
RES:11
AGI:13
DEX:17
サーロスから少し距離を取りながら、倒れている人に近づくサーロスの後ろを慎重に警戒しつつ後を追った。鑑定するとどうやら農民のようだ。
なんでこんな所に?詳細を確認しようにも距離があってできない。近くに畑でもあるのかな?それに倒れているのにHPが全く減っていない。病気?病気に罹ってもHPって減らないのかな?病気の人を鑑定した事ないから、よく分からない。
「おい、大丈夫か?」
倒れている農民に少し離れた場所からサーロスは声を掛け、立ち止まり、様子を伺っている。
「うぅ、うぅ、助けてくれぇーい」
こちらからの呼び掛けを聞きこちらに気付いたのかうつ伏せで倒れ込む農民は顔を伏せたまま、か細い声で......って、何かへんな感じだ。なんていうか、嘘くさい。
サーロスも多分同じように思ったのかゆっくりと剣を抜いてじりじりと農民に近づいた。
「ぉおーい、助けてくれぇーい!」
倒れている農民はさっきより大きな声ではっきりと言った。いやいやいや、怪しすぎるわ。
メルルがサーロスの後についていこうとするのを手を引いて止め、様子を伺った。
農民に近づいた瞬間、サーロスは後ろに飛び退き、サーロスが立っていた地面には矢が一本生えた。
飛来してきた矢の方向に視線を向けると岩場の影から弓矢を構える男が姿を表して、その後についで複数の男達が姿を現した。
全員が薄汚れた衣服を身に纏っていて鑑定すると皆職業が農民だった。倒れていた男も何食わぬ顔で立ち上がっていた。
「ふむ、あれは盗賊だな」
いつの間にか僕とメルルの目の前まで下がっていたサーロスが呟いた。全部で五人。弓矢を持つのが一人で後の四人は手斧や木槌のような物を構えていた。
「ネール、メルルと一緒に岩陰に隠れていてくれ。一応、矢には注意しておいてくれ」
短く返事をしてメルルの手を引き近くの岩陰に隠れつつ様子を伺った。
サーロスは一瞬で距離を詰めて弓矢を持つ男を切り捨てた。いきなりの事で狼狽える男達を一人また一人と切り捨てた。
「まっ、待った!待ってくれ!」
気づけば立っているのは最初に道に倒れていた男一人となっていた。命乞いする男の顔は青褪め、恐怖に染まっていたが、サーロスは躊躇する事なく剣を振り下ろし、青褪めた男の顔は切り付けられ、血飛沫が飛んだ。
サーロスがこちらを振り返り、もう大丈夫だと言ったので岩陰から出てサーロスに近づいた。
転がる五つの死体。皆、農民だった。何か止むに止まれぬ事情があったのだろうか?本当に盗賊だったのだろうか?あるいはそうでなかったのかもしれない。分からない。分かっているのは僕らが彼等に襲われかけたって事だけだ。
死体となった彼等の詳細を鑑定すればもしかしたら理由が分かるかもしれないけど、するつもりはない。今の僕にとって知る必要のない事だからだ。人を知る事は、しんどい事ばかりだから。
薄汚い格好をした、無様に転がる骸らに、ただただ無関心になろうとした。
盗賊らしき男達に襲われかけたけどそれ以降は特に何か起こることもなく、山を越える事が出来た。そして、それはマーウェル伯爵領に足を踏み入れた事になる。
山を抜けた後はいくつかの町や村を経由しながらマーウェル伯爵領都へ日に日に近づいていた。道中は獣人親子と笑い合い、楽しみ合いながら長くも短く感じる道のりだった。
この二人に出会えて良かったと心からそう思う。出会えた事に感謝を。この世界の神には祈らないけど、自分でもよく分からない何かに祈り、感謝した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます