第50話
ノーザンの町についてから数日。明日、僕はマーウェル伯爵領へ旅立つ。
伯父さんや伯母さんは僕達を快く受け入れてくれたけどやっぱり父ちゃんと母ちゃんは申し訳なさがあるようだった。
二人は伯父さんの商店の従業員として伯父さんの仕事を手伝う事になった。二人は読み書きも簡単な計算も出来るので助かるよと伯父さんは言っていたけど慣れていない仕事に父ちゃんも母ちゃんも四苦八苦していた。
マーウェル伯爵領の領都サインスまでの道のりは長い。
まずノーザンの町から二週間程歩いた先にあるブリージャー子爵の治める街ダンスンザを目指す。
ちなみにマチカネ村もノーザンの町もブリージャー子爵が管轄する土地の管内に入っていてマチカネ村の魔枯病の調査に来た文官達もダンスンザからやって来ていた。
ダンスンザから更に徒歩で一ヶ月程進んだ先に目的地であるマーウェル伯爵領都がある。おおよそ一ヶ月半の旅となる。
前世でもそんな長旅経験したことが無く不安だが父ちゃんや母ちゃんはもっと不安で心配みたいだった。
ノーザンからダンスンザまでの旅路は伯父さんが同行してくれる事になった。
伯父さんはダンスンザの街に定期的に商品の仕入れなんかを行っていて、僕の出発に合わせて仕入れの日程を変更しダンスンザへ一緒に行ってくれる事になった。
そしてダンスンザから伯爵領都までは伯父さんの知り合いで領都まで行く人間をダンスンザで探してそれに同行させて貰う予定に決まった。正直めちゃくちゃ助かる。
地図は高価で持ち合わせていないし方位磁石みたいに方角を確認出来るものも無いから迷う可能性は充分にあった。
かなり遠回りする事も覚悟していたから少し気持ちが楽になった。
また、伯父さんからは旅に必要な物を色々と揃えてもらった。申し訳なくしていると叔父さんはそんな僕の態度に気づいたのか、
「遠慮はしなくていいんだよ。ダグの親父さん、君のお爺さんには昔いっぱいお世話になったんだ。お爺さんが生きてる間に恩返しが出来なかったからその分君のお父さんやお母さん、そして君に恩返しがしたいんだよ」
と言ってくれた。伯父さんにありがとうと感謝を伝え、天国にいる一度も会ったことのない爺ちゃんに心の中で感謝した。やっぱり僕はこの家に生まれて幸せだ。
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