第22話

 レベルが16まで上がったがそこからは中々レベルアップしなくなった。レベルが上がるにつれ次のレベルアップに必要な経験値が増えた影響だ。


 釣りをすることにも大分慣れて来たので訓練も再開、並行して行っているけどやっぱり一回の釣りで15しか経験値を得る事が出来ないのはとても効率が悪いのがよく分かる。サファイアピアスの経験値取得5倍の効果は発揮されているから1回の釣りで75の経験値を得る事が出来ているけど、それでもやっぱり効率は悪い。


 今のステータス値から考えるにザコな魔物と戦える様になるのにレベル30ぐらいは必要なんじゃないかと思う。主人公であればレベル30で中ボスと戦えるだけの能力があるというのに。まぁ、でもそんなに急いでるわけではないし、時間もたっぷりあるわけだからのんびり行こう。


 この日も午前中に農作業の手伝いを終え、遊びに行く態で湖に向かった。湖に着くとすぐに腰に携えた縄を伸ばし、先についた釣り針に素早くクズ野菜を取り付けた。何十回もやってりゃ慣れるってもんだ。


 早速湖に仕掛けを投げ込んだ。するとすぐに手応えがあり、ヨコヅナデビルがかかったのが分かった。今日は調子がいいみたいだ。ダメな時は最初の一匹を釣り上げるまで結構時間がかかったりするからね。


 いつも通りかかった縄を手繰りよせ、自分の手前まで寄せ、姿がはっきり確認出来た所で縄を思いっきり引っ張るとヨコヅナデビルが水面から飛び出す様に姿を現した。


 釣り上げた魔物は地面でビチビチと元気よく暴れている。さて、いつものようにとどめをさしますか。僕の力でギリギリ持てるような大きさの石を見つけ両手で持ち上げた。


 初めてヨコヅナデビルを釣り上げた時と比べ一回り大きい石を持てるようになっていてレベルが上がった影響を感じる。そしていつものようにヨコヅナデビルの頭目がけて石を叩きつけ倒した。頭が潰されてもなお暴れる体に木の棒を慣れた手つきで動かなくなるまで何回も叩いた。


 「ふぅ、さて次の獲物を釣りますかね。...ん?」


 ふと視線を感じ、そちらに目を向けた。視線の先には少し離れた森の草木が生い茂っていて、それだけだ。何もない。気のせい、かな?


 息絶えたヨコヅナデビルの頭を潰している石を退けて釣り針を回収し次の釣りを行うための準備をした。そして新たに湖に仕掛けを投げ込んだ。


 「グルルルッ」


 気のせいじゃない!?唸り声が聴こえた方に振り返ると真っ黒なオオカミっぽいのが一匹、さっき釣ったヨコヅナデビルを咥えていた。明らかに僕に対して敵意があるのか真っ赤な目から鋭い視線を向けて来ていた。


 

 まずいっ!魔物だ!



フォレストウルフ(黒)

狼型の魔物

レア度D

雑食で凶暴

単独行動を好む


まずいまずいまずい!





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