道標

 いままでの人生で、幾度となく目にしてきた道標。


 おまえが進めるのは、こっちの道。


 あっちの道は、おまえには進めない。


 疑いもしないで、僕はその道標に従ってきた。


 でも、本当に僕には進めない道だったのだろうか。


 その答えを知りたくても、もう戻ることはできない。


 後ろを振り返った先にあるのは、どこまでも落ちていく暗闇だけ。


 僕にはもう、道標は必要ない。

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