08
「恋するシンデレラ~私を射止めるのは誰?ってマジでふざけすぎでしょ」
ぱちりと目を開けると、わたしには見慣れない、でも私には見慣れている天井が目に入った。
先程、目が覚めたときは前世の記憶が戻ったところだったからかまだエリザベートの自我が強かったけれど、もう一度寝て前世の夢を見たせいなのか私が強くなった気がする。
だからなのか、この小さな体にも違和感が半端ない。
それと、目に入る自分の髪色にも……毛先が青が強めな薄い紫色になっているプラチナブロンみたいだ。
地毛では絶対あり得ないし、白に紫って白髪のおばあちゃんがよくやるやつじゃん。
大きなふかふかのベッドから這い出て、近くにあった鏡を覗くと美幼女がいた。
いや、私は自分の顔を知っているはずなんだけど、わたしは見たことないわけで……なんか頭がおかしくなりそうだ。
鏡の中の美幼女は、少しつり目なで可愛らしい顔はしてるんでけど、将来は絶対美人さん間違いなしだ。絶対かわいい系じゃなくて美人だわ。
前世のわたしも美人だったと思うけどその比じゃない。
極めつけは、幻といわれた青いガーネット、ベキリーブル―ガーネットのような瞳だ。
明るいところではブルーなんだけど暗がりでは鮮やかなレディッシュピンクになる。
キラキラしていて、宝石みたいで……
「……きれい」
でもまって……この瞳、どこかで見たことがあるような気がするのよね。
いや、私の顔なんだから私はいつも見ていたんだけど、そうじゃなくて……わたしが前世にどこかで見たこと、ある…ような?
…………。
「悪役令嬢……、あのクソみたいな小説の悪役令嬢だわ」
名前なんだったけ?
たしか……エリザベート・ヴェルトハイム。
……私だわ。
ガルシア王国のヴェルトハイム公爵家の長女で珍しい氷属性と闇属性の2属性持ちでガルシア王国の王立学園での成績は優秀、淑女の鏡と言われるほどに立ち居振る舞いは完璧。近寄りがたい美貌と少しキツイ目、氷属性をかけて社交界では氷の華と言われていた。
わたしはあのプリン女に殺されて、そんな#私__エリザベート__#に生まれ変わったってこと?
生まれ変わった先が、美人で家柄はこの国の中でも王家を除くと最上位、頭の良さも申し分ないのは嬉しいけど……将来婚約者に浮気された上に婚約破棄されて、嫉妬して浮気相手を殺そうとしたけど詰めが甘すぎて二人にばれて処刑される悪役令嬢だなんて最悪だわ。
つか、私の趣味悪すぎでしょう。あんな俺様で浮気男のどこがいいんだか。
……いや、待てよ。
まだ婚約もしてないわけだから、婚約しなければいいんじゃない?
だいたい、あのバカ王子なんてわたしのタイプじゃないわけだし……あ、でも婚約しなくても結局はあのバカ王子とお花畑ヒロインがくっつくわけでしょ?
私の人生は無事でも、この国が無事じゃないわ。
二人がくっついてハッピーエンドで終わってもその後は?
この国にとってはハッピーエンドじゃないでしょ、絶対。
よく、みんなシンデレラとか白雪姫とか王子とかわいそうな境遇の女の子が恋に落ちる話を憧れるとかいうけど、あれを現実でするとただのやばい王子の出来上がりだからね。
普通に考えて、何の勉強もしていない女が王妃との仕事ができるわけないじゃん?仕事しない王妃なんてただの税金泥棒だろ。民からとった税金で暮らしてんだからその分の仕事はしろよってことだよ。そんなに好きなら妾とかにしてどっか外に囲ってろ。
それもそれで、その女におぼれて王の仕事ができなければただの愚王だけど。そんなに好きなら、自分が王族辞めてその女とくっつけよ。
まぁ、そういうことで、どう転んでも最悪な未来しか待ってないんじゃない?
こうなったらあのバカ王子を矯正するか?
まだそれなりに子供だし間に合うか……?
そんで私以外の婚約者を立ててその子も教育すると。
そんで、私はどこか田舎に引っ込んで悠々自適なスローライフを送ると。
めんどいけどスローライフは最高だわ。
あ、でもその前に池に突き落としやがった制裁を食らわさなきゃだわ。
何してやろう。
簡単なものじゃ気が済まないよね。
私は死にかけたわけだし。
そのおかげで前世の記憶が戻ったわけだけど。
んー……、もうバカ王子の矯正なんてめんどいことするんじゃなくて、あいつが廃嫡されるように頑張ってみるとか……?
とりあえず、バカ王子の婚約者にはならないようにしよう。
それは決定事項って…くぅー……
「お腹すいた……」
わりと必死目に今後のことについて考えていたけれど、高らかとなった自分のお腹の音に高速に回ってた頭が止まる。
可哀想なほど鳴る自分のお腹を宥めるようにに手を当ててみるけど効果はあるわけない。
そういや3日間も目が覚めなっかたうえに、また寝ちゃったから何も食べてないんだった。
腹が減っては戦はできぬっていうし、まずはお腹を満たしてからこの後のことは考えよう。
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