第78話・この学校狂ってるわ

 学園祭2日目

 朝起きて、寝ぼけた頭で寮を出て、途中北先生と会って、寝ぼけててよく覚えてないけど何か言われて何かを受け取ってから教室に向かっていた時、裏ダンジョン連合から電話がかかってきた。


 ほんで、初めて聞く声の人で、長ったらしく話をされた。少しイラっと来たので、眷族に短くまとめさせた所こんな意味だった。


 大問題が起こったらしい。何も聞かされておらず、よく分からないけど何か凄い緊急事態が起こって、裏ダンジョン連合の精鋭達がほぼ全員東京にある本部に召集されましたとさ。めでたしめでたし。


 うん、凄く短くまとめられてた。やっぱ眷族凄いわって、ん?は?え?だろ、マジで、問題が起きたら対処する主力戦力である裏ダンジョン連合精鋭部隊が抜けるんだぞ。キツイだろ。


 で、まだ、そうまだ裏ダンジョン連合の精鋭達が抜けたのなら許せたし、対処も出来た。だけど、急に眷属から北先生が大規模な魔物暴走が起こったとかで抜けたという報告が入った。


 は?


 敢えてもう一度言おう。北先生が大規模な魔物暴走が起こったとかで抜けた。


 は?


 頭がおかしいのかな?北先生って空間魔法の使い手で昨日もなんだかんだで大量の犯罪者の逮捕に戦闘をこなし、様々な問題を一人で解決した、この学園祭の警備の要の一人だよ?


 それが抜けた?


 つまり、今どうなってるかというと、警備がほぼほぼ俺の眷属、もちろん、申し訳程度にダンジョン連合の人や先生方は警備をしているが、北先生と裏ダンジョン連合の精鋭達と比べるとかなり劣ってるし。

 俺の眷属のほうが仕事が出来るし。


 うん、それで、俺なんかしらんけど、警備の全権を北先生から渡されてた。

 なんか俺が寝ぼけてる間に受け取ったらしい。眷属から聞いたのだが。完璧なる事後報告なのだが。


 ・・・・・・


 この学校、警備の全権を一生徒、それもまだ一年生の奴に渡したぞ。

 頭がおかしいを超えて、狂ってるだろ。大丈夫か?マジで理解に苦しむぞ。


 そんで何故?え?反対とか起きなかったのと、常識を持った人はいなかったの?本気で問いたいのだが。

 何で俺に警備の全権が回ってくるの、意味が分からない?いや、まあ、確かに警備のほとんどが俺の眷属なんで、この学校の警備をほぼほぼ自由に出来るけどさ。

 でも、やっぱりおかしい、しかも、落ち着いて考えたら、問題が起きたら俺に責任を押し付けられるやん。


 ・・・・・・


 そう、問題が起きたら俺に責任押し付けれる。確か、昨日はかなり問題が起きたな。遠い目。

 そりゃ、引くぐらい問題が起きたな。遠い目。

 しかし、一般人の死者もケガもゼロやし。問題が起きてるなんて知らない人がほとんどだ。

 でも、それは裏ダンジョン連合の精鋭と北先生、そして俺と俺の眷属の力が大きい。


 ・・・・・・


 それが抜けるんだよ。ヤバいだろ、昨日みたいに問題が起きたら解決できる自信ないぞ。

 そうなったら、責任を誰が取るって、警備の全権を持った俺やん。

 あの、クソ野郎ども、特に俺にポイと警備の全権バッチ渡してきた北先生、ふざけてやがる。マジで、ああああああ、でも、今愚痴ったってどうしようもない、俺に出来ることは問題が起きないように死ぬ気で対処することだな。遠い目を超えて発狂そして諦め。


「ハアアア~~~~~~~~~」

 大きなため息を吐く。


「よし、俺は頑張るぞ~~~、絶対に問題を起こさずに乗り切ってやる、オ~~~~~~」

 思いっきり大きな声で叫び、気合を入れる。よし、気合入った、頑張りますか。

 なんて言ったが俺のすることは昨日と変わらず出し物巡りだ。

 もちろん、大きな問題が起きれば解決に向かうし、出し物巡り中に犯罪者と出くわせば、速攻で捕まえるけど。


 なんだかんだで俺の眷属は優秀やし、千鬼死霊大行進を使って、警備に使えそうな、鬼と死霊を召喚して巡回に加えてるし、よほどな問題、それこそ昨日のあの化け物みたいなのが出たりしない限りは大丈夫やろ。これでフラグ立ってアウトとかは無いよな、ないな。うん、無い、大丈夫。


 ――――――――――――――――


 てなわけで、千鬼死霊大行進で警備に使えそうな鬼と死霊呼んで、警備に回させ、いくつか犯罪者が狙いそうな所【裏ダンジョン連合に繋がる入口】や【重要な機密がモリモリの職員室】等の警備を増やした。

 そして、学園祭2日目が始まった。


 ――――――――――――――――

 学園祭が始まってから3時間後、特に大きな問題は起きてない。

 もちろん、快楽殺人鬼や誘拐犯がきたり、職員室に侵入しようとしたり、裏ダンジョン連合に繋がる入口を探しに来た人とかいたけど、全員眷属が問題を起こす前に捕まえました。

 いや、本当に俺の眷属達優秀やわ、凄い。これで俺も安心して出し物巡りを楽しめるってもんだ。


 てなわけで、楽しく学園祭を巡っていた時だった。

 学園祭に家族が来ているという情報が眷属から来た。

 マジかよって思いつつ死霊転移を使って家族の前に転移する。


「久しぶり」

 家族の後ろに死霊転移した俺はそう、声をかけた。


「お、泰斗、久しぶりだな、元気にやってたか?」


「ああ、元気にやってるよ。というか元気が有り余ってるぐらいだよ」


「そうか、それは良かった」


「それより、学園祭に来るんだったら言ってくれればいいのに?」


「いや、何、少し泰斗を驚かせたくてな、といっても泰斗のほうが先に気が付いてしまったが、ガハハハッ」

 相変わらず豪快な笑い方だなお父さん。俺は結構カッコイイと思ってるのだが。俺にはその笑い方真似できないわ。


「アニイってさ、お金持ちだったよね、可愛い妹に何かおごってよ」

 妹が俺とお父さんの会話に割って入ってそんなことを抜かしてくる。

 まあ、でも、お金持ちなのは事実やし、ここでけちるほど兄として腐ってはいない、それに、せっかくの学園祭やしね。少しくらいいっか。


「ああ、いいぞ、お兄ちゃんが何でも好きもの買ってあげよう、何、ダンジョンでお金はたんまり稼いだ、遠慮はしなくていいぞ」


「ありがと、アニイ、じゃあ、Sクラスの出し物にある、勇気様のグッズ全部買って欲しいな。昨日行った友達が羨ましいでしょって、私に自慢してきたんだ。だから絶対欲しいの」


 ・・・・・・まさかの、それ、え、それ作ったの俺と眷属やん。

 というか、俺の妹ながら勇気様って、まさかの勇気フャン、え、泣きそうなんだけど。

 というか泣いていい?


「そのグッズの制作者の一人は俺だ。いくらでも自由に作れる。証拠はこれとかでどうだ」

 そういって、闇空間からストックしてあるくじ引き限定の特賞勇気フィギアを闇空間から取り出す。


「え、それって、幻の6分の1勇気フィギア魔物殺しの英雄完全バージョンじゃん。今のところ出回ってるのが5つしかない伝説のフィギアじゃん」

 何それ、確かにこのフィギアは6分の1勇気フィギア魔物殺しの英雄完全バージョンっていうけど、幻のって何?

 そんな貴重なものなの。これ、他のフィギアと違っていくつが光が出たり技を出せるギミックしこんだから数も少ないし一つ原価千円くらいするけどさ。そんな幻が付くほど大層な代物やないぞ。


「欲しいなら、いるか?」


「え、くれるの?本当にくれるの?」

 凄い目を輝かせてくる。そこまでかよ。


「ああ、いいぞ」


「わあああ~~~、ありがとう、アニイ~~~」

 心の底から嬉しそうに勇気フィギュアを抱きしめる妹。兄として何というか嬉しいが。少し悲しいものがあるな。

 いやマジで本当に。


「まあ、そこまで喜んでもらえると俺も嬉しいよ。さて、他の勇気グッズは俺の眷属の闇空間を介して家に置いておくよ、じゃあ他に欲しいものはあるか」

 そう言って、家の警備をさせている眷属にグッズを家に置いてもらう。


「じゃあ、家族皆で学園祭を楽しも、それで、欲しいものがあったら買ってね」


「ああ、もちろんさ」


「泰斗、一緒に楽しむって、あんたの仕事は大丈夫なのかい?」


「お母さん、心配しなくていいよ、俺の主な仕事はほとんど終わってるし、俺には優秀な眷属がいるから、今の俺は特にしなければならない仕事はないよ」


「そうなのね、じゃあ、良かった」


 ――――――――――――――――4時間後――――――――――――――――

 家族皆で学園祭を楽しんだ。

 この4時間の間には、いくつか俺が駆り出される問題が起きたが、そこまで大きいものでもなく、どれも数分で解決するようなものばかりだった。


「じゃあ、そろそろ帰るね、健康に気をつけて」

「またね、アニイ、それといろいろ買ってくれてありがとう」

「じゃあな、泰斗の作ったお化け屋敷かなりよかったぞ、その調子で頑張れ」


「うん、頑張るよ、またね~~~、皆も健康に気をつけて~~~」


 そういって車に乗って帰っていった。


「あ~~~、楽しかったな、やっぱり家族はいいもんだな。また今度、家に帰るか。さて、気を取り直して警備、警備、今のところ大きな問題は起こってないからって油断は危ない、最後まで気を抜かずに頑張らなければ」


 そっから学園祭の出し物を巡りつつ、眷属と協力して犯罪者を捕まえたりしながら。何とか大きな問題を起こさず、死者ゼロ大きな怪我人ゼロで学園祭を終わらせたのだった。


 うん、俺凄い頑張った、よく頑張った。

 そりゃ、まあ昨日のような大きな問題は起きてないが、小さい問題はガンガン起こってた、もし、何の対処もしてなかったら何人も攫われ何人も殺されて機密情報は盗まれ、物は破壊され、一般人にも多大なる被害とそれに対する世間のイメージの大幅低下等々、相当にヤバかった。


 だから、本当に良かった。

 さてと、Sクラスの出し物は順調だし、ネットで完成度の高すぎる勇気グッズがバズって今日の勇気グッズ売上が742万円とかいう、アホを超えて狂った数字をたたき出したし。

 被害もゼロ、俺は家族と楽しく過ごせた。勇気もハーレムメンバーと楽しくラノベみたいに問題に巻き込まれたりエロハプニングに遭いながら楽しそうにしてた。

 金山も何人か冒険者が挑戦してきて、非常に楽しそうに戦ってたし、鉄志も十川さんと幸せそうやし。石嶋も何だかんだでイケメンな容姿で女子にキャーキャー言われてたし。

 大成功、大成功、二日目の学園祭は大成功だな。


 ――――――――――――――――――――

 補足説明


 どうして?そんなに犯罪者が来るの?


 ダンジョン連合と裏ダンジョン連合に怨みを持った犯罪者が多いため。

 復讐の為に学園祭ということで誰でも簡単に入れる機会を利用して犯罪をしようとしてくる。


 学生というか主人公に警備の全権を渡すとか頭が狂ってるの?


 1日目、先生方は想像以上の問題に頭を抱えて胃に穴が開きながら頑張りましたが何だかんだで主人公こと上野泰斗が簡単に解決したりするんで、めんどくさくなって丸投げしました。そこにあったのは冷静な判断ではなく、全てを諦めた投げやりです。


 北先生って実際どれくらい強いの?


 めちゃくちゃ強いです。

 相性もあり、流石に今のチート主人公には勝てませんが、鉄志や金山が10人とかで襲ってきても余裕で勝てます。また、主人公の眷族である闇助と一対一で戦えば普通に勝てるくらい強いです。

 本気で空間魔法を剣に纏わせて山に放てば山を文字通り半分に斬ることが出来るくらい強いです。


 今の主人公ってどれくらい強いの?


 一言で言い表すならば化け物です。

 山があれば破壊魔法とか言って、山を破壊出来ます。

 闇魔法・闇斬りとか軽く言ってますけど、大量に手に入れたスキルにより身体能力が異常なまでに強化され、ビル位なら余裕で切断できます。

 また、眷族の力を使えば、一切の冗談を抜きにして日本を滅ぼせます。ただ超絶大英雄純武がいた場合は返り討ちにあって終わりですが。

 一応、主人公が死霊魔法をフルに使えば、不死で絶対忠誠で生前の倍以上の能力を持った化け物を量産出来ます。

 まあ、そんなアホみたいな芸当は死霊王かつ莫大な精神強化と魔力を持った主人公だから出来るものであり、普通の人間がやろうとしても死にます。

 死霊転移による無制限の転移スキルに飛行とか言って本気を出せば音速で飛べる化け物性能に、再生スキルにより、どれだけ傷を負っても再生します。また、ダメージを吸収することや街を木っ端微塵にする魔法を撃つことだって出来ます。

 こうしてみると化け物ですね、というかそれに勝てる超絶大英雄純武って一体・・・・・まあ、その辺は追々説明するかもしれません。

 因みに主人公は自分の事を強いとは思ってますが生で超絶大英雄純武に会い、本当の強者はあのレベルと思っています。そんなわけないのに、超絶大英雄純武はその強者の中の強者の中の異端の化け物。単体での世界最強だぞ。

 ただ漆黒竜と四天王に主人公。その他の眷属達とで力を合わせればギリギリですが超絶大英雄純武に勝てます。

 そんくらい今の主人公は化け物です。

 まあ。こっから更に強くなるのですが、何なら神になるんですが。


――――――――――――――――――


少しでも面白いと思って頂けましたら星やハートを頂けると嬉しい限りです。


それと新しく【魔王殺しの英雄譚】という小説を書き始めました。読んでいただけると幸いです。

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