第61話・大量の悪魔VS漆黒竜と死霊王と筋肉の化け物と戦闘狂と可憐な女の子

「泰斗殿、これは一体どういう状況でござるか」


 俺の元に鉄志と金山 怪奇もとい戦闘狂と鉄志の婚約者もとい十川 紗江さんが駆け寄って来る。


「鉄志、詳しくはよくわからないが、石嶋 零時の体内から大量の悪魔が出てきた、俺一人じゃあ、勝てない手伝ってくれ」


「そりゃ、もちろんでござる」「鉄志が手伝うなら私も手伝うよ」「楽しい、楽しい、悪魔狩りか、もちろん俺も勝手に手伝わせてもらうぜ」


「皆、ありがとう、じゃあやるか」


「「おう」」「うん」


 ――――――――――

 10分後

 ――――――――――


 無理でした。いや、普通に強かったです。

 ザコ悪魔は倒せたが明らかに強そうなやつは一切倒せてないし、こっちは魔力も体力も大分消耗して少々不利な状況だし。

 うん、どうしよう、北先生が異変に気が付いて駆け付けてくれるまで粘るか。いや、それまで持つか怪しいな、どうするか、本当にどうするか今すぐ来れるかなり強い援軍、あ、そうだ、漆黒竜がいるじゃないか。

 俺以上に強くて、今すぐ呼び出せる最強で最高の援軍が。


「漆黒竜降臨発動」


 俺がそう言った瞬間に空間が歪み、中から漆黒竜が現れる。

 相変わらずの今まで感じたことの無いレベルの恐ろしいまでの威圧感、でもそれが今この状況では頼もしく感じる。


「泰斗殿あれは、一体なんでござるか」


「安心しろ鉄志、俺の最も頼もしい眷族だよ」


 俺は飛行で漆黒竜の背に乗り、命令する。


「行け漆黒竜、ブレス攻撃だ」


「GYAAAA、ゴウAAA」


 俺をあれだけ苦しめた恐ろしい威力のブレス攻撃、しかも、スキル効果で威力は倍だ。

 倒すまではいかないものの、皮膚は完璧に抉れ爛れ、かなりのダメージを負っている。

 俺はそれを確認すると、漆黒竜の背から飛び降り剣を取り出してボロボロになっている悪魔の首元を掻き切った。


「凄いな、あれだけ硬かったのに、ブレスでこんなに柔らかくなるんだ」


 ニヤリ


 俺は相当悪い笑みを浮かべて言った。


「悪魔ども攻撃が入るのならばこっちのもんだ、その首切らせてもらう、行くぞ、漆黒竜」


 そこからは虐殺だった。

 漆黒竜のブレスで防御力が弱くなった悪魔の首を俺が斬り飛ばす。

 漆黒竜に爪で引っかかれて大きく跡が付き弱ったのを鉄志たちがしっかりととどめを刺す。

 漆黒竜に噛みつかれて蹴飛ばされて瀕死になっているのを鉄志たちがしっかりとどめを刺す。

 漆黒竜に踏みつけられて抜け出せなくなっているのを俺達皆で袋たたきにして殺す。

 漆黒竜の尻尾で吹き飛ばされたのを鉄志が良さげな方向に殴り飛ばし、十香さんが水魔法で拘束して、戦闘狂金山がメチャクチャに切り刻んで殺す。


 そうやって、漆黒竜の力を借りて、悪魔たちを皆殺しにした。

 いや、本気で漆黒竜が強すぎで凄い拍子抜けするほどだった。

 ぶっちゃけ漆黒竜だけでこの悪魔全員皆殺しに出来た気がする。


「ありがとうな、漆黒竜」


 俺は感謝の気持ちを持ち飛行を使って漆黒竜の頭を撫でる。


「GAAAAAA」


 嬉しそうな感じで咆哮してくれる。

 こうやってみると可愛いペットでは流石にないな、コイツだけで街をいくつも滅ぼせる化け物だしな。まあ、いいや、悪魔も倒したし戻しますか。


「漆黒竜降臨・解除」


 そうやって、漆黒竜が居なくなった瞬間に俺らの目の前に一匹の男が現れた。


「いやはや、とんでもない化け物でしたね。あれは、いかに私といえどあの化け物の前には流石になすすべなく消滅させられていたでしょう。しかし、良かった、あの化け物が居なくなって。あの化け物さえいなければ、私一人であなた方を皆殺しに出来ます」


 その瞬間、男の身体から漆黒竜の時とは違った憎悪・恐怖が濃く出た圧を感じた。

 身体がうまく動かない。俺が恐怖しているのか。ヤバい、このままじゃあ、殺される。


「いいねいいねいいねいいね、まだこんな強者がいたんだ、俺を楽しませろ~~~」


「怪奇、止めろお前が敵う相手じゃない」


 グチュ


 一瞬で金山の腕がはじけた。それもアイツは何もしていない唐突に金山の腕がはじけ飛んだのだ。

 いや、何もしてなくはないか、俺が見えない何かの力で弾き飛ばしたのか。

 そうか、なるほど、なるほど、ヤバくね、メチャクチャ強くない、何あの化け物、やったよ、やらかしたよ漆黒竜戻すんじゃなかった。あれ次使うのに24時間かかるんだよな。

 うん、どうしよう。

 ――――――――――

 おい、お前、何を悩んでいる目の前の強敵をぶち殺せばいいだろ

 ――――――――――

 急に声が聞こえた。

「誰だ」

 ――――――――――

 お前だよ、お前の奥底の意識にある、戦いを楽しむ意思だ

 ――――――――――

「ハハハ、何を言ってるんだ、戦いを楽しむ意思だと、そんなものが」

 ――――――――――

 あるぞ、現に今喋ってるではないか。お前は自分の戦いたい、殺しあいたいという欲求に身を委ねろ、さすれば、そこにいる化け物にも勝てるぞ

 ――――――――――

「いや、身を委ねろって言われても、そんなの、あるわけ」

 ――――――――――

 だから、あるといってるだろ、うるっさいな、本当に俺の表面意識かよ。お前グダグダ言うな。男だろ、回りの被害とか一切考えずにスキルに能力全開放で戦えよ。お前は自分の思ってるより戦闘狂なんだからさ

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「いや、そんなこと言われても」

 ――――――――――

 そんなもクソもない、あああ、めんどくさい、俺が意識介入してやる

 ――――――――――

「え、ちょま、何それ、怖そうなんだけど、あああ、ああああああ、ハアアあああ」


 そして俺は目の前の強敵を前に思いっ切りニヤリと笑って言った。


「俺を楽しませろ」


 と


 ――――――――――

 一応本気出したら、前が見えなくなって鉄志たちを巻き込むと配慮していた主人公

 しかし、本気もとい戦闘狂モードになっっちゃたので、まあ、あのダンジョンは粉々になりそうですね、可愛そうに。ダンジョンさん。

 因みに主人公が自分の意識と会話している間ずっと怪奇君ボコボコにもてあそばれてます。南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏。お可哀想に。

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