第52話・ダンジョンの秘密
「何百もの世界の意思だと、何それ?」
「はい、主様、何百もの世界の意思とはいきなり我らの住まう悪魔界に現れた概念的存在であり悪魔界に破滅をもたらして世界を崩壊させる力を持ち変化させた存在。
それが何百もの世界の意思です。
それは今から11年前に突如現れました。形は巨大な靄のようなそれは悪魔界に現れるや否や悪魔界の中でも力を持つ魔人や上位悪魔や死霊王や鬼王をほとんど連れ去りました。
そして、更に我らの悪魔界に住むもの全てに謎の契約が記されていました。その瞬間悪魔界は大混乱に陥りました。
もちろん上位の者たちがいなくなったのも大混乱の原因の一つですが、謎の契約これが主な原因でした。
この契約は絶対的服従と死んでも生き返るという呪いがかけられており、ありとあらゆる行動を制限されてしまいました。
そんな中私は何百もの世界の意思とは何なのかどうして強者は攫われそれ以外は服従させられたのかを必死になって考え調べました。
そして、5年の月日が過ぎようやく全てが分かりました。何百もの世界の意思とはこの異なる世界、俗にいう異世界と呼べれるものにある滅んだダンジョンの怨念の塊だったのです。
ダンジョンというのは基本的に核と呼ばれる最深部の更にその奥にある石を破壊もしくはダンジョン外に出されると魔物の生産がストップします。
しかし、魔物の生産はストップしてもダンジョンという存在そのものは消えません。そしてダンジョンがある限りいつかダンジョンの主となる魔物が住み着き魔力を溜めて核を再生させます。
それを邪魔に思った異世界の住人がダンジョンを空間魔法を使いどこかの異空間に強制的に排除しました。この考え方はかなりの数の異世界に広がっており、邪魔なダンジョンは主を倒されて核を破壊され空間魔法で強制的に排除が繰り返されました、そして、強制的に排除されたダンジョンは何十、何百、何千、何万と集まり、その中にある魔物や魔力を集め集め集め、大きな核を持ち始めます。
その大きな核は意思を持っていました。そう、その意思こそが何百もの世界の意思だったのです。
そして、その意思は考えだしました、自分をこのような異空間に閉じ込めた人間が憎い、利用するだけ利用して、邪魔になったらすぐに排除する人間が憎いと。そして何百もの世界の意思は、ダンジョンを復活させて人間を滅ぼすために動き出します。
まずはダンジョンの主を作るために悪魔界、天使界に訪れてダンジョンの主足りうる生物を軒並み攫い、その予備として私達に無理やり契約をさせました。
そうやってダンジョンの主を手に入れた何百もの世界の意思は幸運にもまだ一つもダンジョンが出現していない上に住んでいる人は魔力を一切使わない非力な者ばかりで魔力が溢れている世界、そう地球を見つけました。
その後は簡単、地球の近くに異世界を創り出して地球の豊富な魔力と人間を殺すという目標を持ち、ダンジョンを出現させて、魔物暴走を引き起こさせているというわけです。
あ、因みにですけどダンジョン内で化学兵器とかが使えない理由は簡単です。何百もの世界の意思がいた何百もの世界に化学兵器が無かったため一種の異世界であるダンジョンにとっては訳の分からない謎の物体と判断されるため、世界がはじくからです。まあ。最近は少しそれも不安定になり使えるようになって来てますが。
あ、それとですね、悪魔界と天使界と混沌世界もとい地球は並列的に存在しております。一応やろうと思えば空間魔法の使い手は莫大な量の魔力を使えば次元を渡れますし。空間魔法の使い手ではなくても莫大な魔力と行きたい場所に対する知識があれば次元転移はできますよ、他にも・・・」
「ちょっと、ストップ、なるほどね、うん、長い、もっと簡潔に要点だけかいつまんで説明してくれ」
「分かりました、主様。ようは、こんな感じです。
1、いっぱいある異世界にあるダンジョンが異空間に廃棄されまくったよ。
2、廃棄されたダンジョンが怒ったよ。もう、人間なんて知らないぶっ殺してやる。そして何百もの世界の意思となる
3、あ、ダンジョンの主に良さげな魔物見っけ、何百もの世界の意思に悪魔界、天使界の魔物が攫われる。
4、さあ、憎き人間の為たまたま見つけた良さげな地球にダンジョンばら撒いて、滅ぼしてやる
5、どうしよう、思ったよりも地球の人間強かった。滅ぼせる未来が見えない。
こんな感じです」
「なるほど、あれ、それってダンジョンの成り立ちじゃない?研究者や国のお偉いさんが死ぬほど探しているダンジョンの成り立ちじゃね?こんな棚ぼたみたいな感じで知っていいの、というか、話脱線し過ぎじゃない、俺は元々この魔境をどうにかしてほしかったのだが、街は普通が一番って理由なんだが、間違ってもダンジョンの成り立ちなんて世界レベルの情報知ろうとはしていなかったのだが」
「え、そうだったのですか主様、それなら簡単にできますよ」
「え、マジで」
「はい、じゃあ、特殊スキル【降格】」
そう言った瞬間街が一気にいつもの街に戻った。
「何それ、凄い、どうやったの」
「あ、はい、この特殊スキル【降格】はその名前の通りありとあらゆるものを降格させるスキルです。といっても自分よりも格下の者限定ですけどね、これを使ってこの街そのものをあの優れた街から主様の望んだ形まで降格させたのです」
「なるほど、凄いなそのスキル、いやでもこうやってみると完璧に街が復活してるな、いや、一時は魔境になってて焦ったがこれなら安心だ。いや、本当に安心安心。さて、じゃあ、ありがとね、もう帰っていいよ」
「分かりました、主様、ではまた何かあればお呼び下さい」
そう言って煙のように消えていく。さて、他の眷族たちも返しますか。
「千鬼死霊大行進解除」
良かった良かった一時はどうなることかと思ったがこれなら安心だ。結果だけ見れば街は完全復活というか完璧に元通りになったしな。家族の所にでも戻りますか。
てくてくてくてく
歩いてダンジョン連合の地下シェルターまで向かい。到着すると。
「おう、泰斗この通り俺は無事だぞ、事情は聞いた、少々心配かけたな」
「あ、お父さん、いや、こちらこそ心配かけてごめんね、でもお父さんも無事でよかった。結局は俺の早とちりだったんだけど、でもあの時は本気で焦ったし自分でも狂いかけてたと思うわ」
「でも、それは泰斗がそれだけ家族の事を思っているという事だし、結果だけ見れば泰斗はこの街で暴れる魔物達を倒しそのボスすら倒したんだ、もっと自分に自信を持って胸を張れ、泰斗はそれだけの事を成し遂げたのだから、そんな自分を卑下するな」
「そうだねお父さん、分かった、自信を持って胸を張るよ」
そう言って暫くお父さんとたわいもない会話をした後、家族の所に行き久しぶりの家族団らんをした。
そうして家族団らんをしている時裏ダンジョン連合から電話がかかってきた。
「私裏ダンジョン連合で働いている職員の一人浦田と申します、あのう、大変です。大変です。泰斗さん、貴方の住んでいた街で魔物暴走が起こったと思ったらいきなり魔物暴走が止まり街が魔境のようなおぞましい場所に変わった後いきなり元の破壊されていない綺麗な街に戻るという異常事態が発生しました」
「更に千里眼と鑑定眼を持つ職員に確認させたところ、正体不明の化け物がわんさかいてと思ったらまた消えてと思って鑑定したらとんでもない魔力それも闇なんて生ぬるい暗黒漆黒のどす黒い魔力を持った化け物がいて、ともかく、貴方の住んでいた街が大変なんです。至急増援に来てくれませんか。取り敢えず今は自衛隊の方々を派遣するつもりですが・・・」
あれ、この電話に出て来る化け物俺じゃない、というか、原因俺じゃん。
「ストップ、ストップ、ストップ、それ俺だから原因も理由も俺だから魔物暴走は解決したから奥に潜む魔族は倒したから。だから、自衛隊派遣はストップ」
「え、あのう、マジですか、というか、もう自衛隊派遣しちゃいました」
「おい、お前、今すぐキャンセルしろ、すみませんでしたって謝ってこい、自衛隊がどんな存在か知っているだろ」
「嫌ですよ、あの狂った組織に謝るなんて出来ませんよ」
「いや、何言ってんだ、謝れよ、今すぐ謝れよじゃないと俺が殺されてしまう、マジで俺自衛隊に殺される要素がいくつもあるから、マジで、頼むから自衛隊派遣を止めろ」
「いや、無理ですって、一度自衛隊派遣しちゃったら、もう止められませんって」
そうやって不毛な争いを続けていたら地下シェルターが開き緑色の服に身を包み、銃ではなく剣を盾をハンマーを持った自衛隊もとい狂った戦闘狂共が現れた。
――――――――――
自衛隊って何?
日本最強の戦闘集団です。
一人一人が魔物暴走を止められるほどの力を持ち。その卓越した体と技を武器にバッタバッタと魔物を皆殺しにする集団。普段は超高難易度ダンジョンで魔物暴走が起きないように超高難易度ダンジョンの魔物を殺戮している。たまに来る魔物暴走処理依頼や凶悪犯罪者の殺処理なども行う。
基本的に自衛隊の給料はかなり高いがその戦闘力を考えれば普通にダンジョン連合に所属してアイテム売った方が何十倍も稼げる。でも、そうせずに自衛隊にいるのは狂ったまでの愛国心か戦闘が大好きで高難易度ダンジョンにいくらでも入れる環境を気に入っているかの2択です。基本皆後者です。
因みに自衛隊の人数は1000人以下です。理由はそのあまりに過酷すぎる自衛隊任務に辞める人が続出したからです。
ダンジョンの秘密や何百もの世界の意思などについてはまた暫くしたら行います多分。多分。
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