第30話 悪魔将軍
突然、魔族軍の最後尾を吹き飛ばす大きな爆発が起こった。
爆発の中心にいた魔族軍の総大将である悪魔将軍は、傷だらけの満身創痍の状態でテスラの異空間に運ばれてきていた。
『はぁ…はぁ…はぁ…。…なんじゃ?突然、目の前で爆発が起こったと思ったら、別空間に飛ばされたじゃと!?』
光のオーラを纏わせた“天叢雲”を右手に持ったアルが悪魔将軍に近づく。
「お~。お前が悪魔将軍か?どうだった?自分のお仲間の自爆攻撃を食らった感想は?スゲェ爆発でビビったよ。筋肉マッチョ悪魔といい、悪魔はピンチになるとすぐに自爆しようとするよな~。お前も自爆するのかな?」
悪魔将軍は、歯を食いしばりながら必死で怒りを抑えて思考を加速させる。
『ヤギ髭悪魔?…ッ!…あの爆発はドドスの自爆技かッ?この空間といい、貴様は空間使いか?空間使いは封印されているはず…。…筋肉マッチョ悪魔…?…き、貴様ぁぁぁッ!ま、まさか封印の紋章を…。そういうことならば、自爆は悪手か…。』
(少ない情報から一瞬でそこまでの考えるのか…。虫の息とはいえ油断できねぇな。)
「わりぃが全力でいくぜッ!」
アルは、転移の指輪を使い、悪魔将軍の背後に転移すると首を狙い“天叢雲”を横に一閃する。
「特技―横一文字&デーモン斬り―」
!!!ガギンッ!!!
(肉は斬れたが骨が超硬ぇなッ!)
眼球全体が黒く変化した悪魔将軍は、身体のダメージを無視して持っていた大斧を振り上げた。
『フンッ!特技―メテオ・インパクト―』
隕石のごとく振り下ろされた斧がアルを襲った。
…ミラージュ・フェイク(光魔法)…
大斧がアルに触れた瞬間、アルの姿が飛散した。
悪魔将軍の死角に回り込んでいた本物のアルは、先ほど斬りつけた首に目掛けて突きを放っていた。
「コンボ特技―クリティカル・ピアース→光牙旋衝→飛天月華→ソニック・ブロー→支流滅裂→柳凪→エイミング・ショット→無双三段→…………」
アルは、首を狙い強力な突き技を次々に放ち続ける。
一方、防御を捨てた悪魔将軍は、アルの突き技を気にすることなく捨て身の攻撃を放ち続ける。
『がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!』
悪魔将軍の執念にも似た気迫を感じたアルは、声を張り上げ自分自身を鼓舞する。
「防御も思考も捨てた玉砕覚悟の決死の攻撃かッ!上等じゃねぇかッ!!!やってやるぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!→虚空→疾風突き→ライジングサン→偲蜂→…………………」
アルは大振りとなった大斧を紙一重で回避しながら、コンボ特技を次々に繰り出していく。
『うがぁぁぁぁぁ…ぁ…ぁ…ぁ……』
しだいに、目に見えて悪魔将軍の動きが鈍くなっていく。
(満身創痍の状態で身体を無理に動かした反動か…。なんてヤツだ…。)
「敵ながら天晴ッ!
特技―横一文字&デーモン斬り―」
アルは、悪魔将軍の千切れかかっている首を狙い“天叢雲”を横に一閃して、首を撥ね飛ばした。
(真面に戦っていたら、負けていたな…。)
…
悪魔将軍を倒すと、魔族軍は統率力を失い、右往左往するだけの集団に成り下がった。
「………。悪魔将軍いなくなっただけで、ここまで酷くなるか?これは、魔族全滅するんじゃね?」
さらに、ソーラー砲撃や精霊達の容赦無い攻撃が絶えず行われた結果、魔族軍は見るも無惨な状況に陥っていた。
(戦力を削ぐだけのつもりが壊滅させてしてしまった。…いや、まだ第二弾が送り込まれてくるかもしれないから、油断せずに追撃をかけた方が良いのか?)
「とりあえず、国境付近に魔族が近づいたら迎撃できるようにソーラー砲撃システムを改造しておくかッ!」
アルは上空に設置したソーラー砲撃システムに近づくと術式を追加して、魔族が感知領域に入ると自動で迎撃する機能などを付与していった。
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