第22話 ラスター

王さまスライムを肩に乗せたアルは、新しく手に入れた肩当てを早速装備していた。


「うん。流石、魔法防具ッ!装備すると自動でサイズ調整されてピッタリフィットするなッ!」


王さまスライムは、肩の上で嬉しそうにプルプルふるえる。


“プルプルプル(とってもお似合いです。ご主人様。)”



さっきまで死闘を繰り広げていた王さまスライムと和気あいあいとしているアルを見て、ザックは呆然としていた。


「私の見間違いでなければ、あの王さまスライムがアル様をレアアイテムで買収したように見えたのですが…。しかも、あのレアアイテムは、一点物の幻想級アイテムですよ…。」


ザックの言葉にムトゥが頷く。


≪きっと見間違いじゃねぇ。大将、おもいっきり買収されてたぞ。完全に、金目のものを発見した時の目になってたしな。でも、あのアイテムじゃあ、買収されるのも頷けるぜ…。≫


空から降りてきたヴァンも同意する。


『買収を持ちかけるだけの知能があるスライムなんて、スゴいとしかいえないよね♪しかも、あのスライムには”攻撃魔法に対する絶対防御”があるんだって♪そう考えると、あの幻想級アイテムにも、攻撃魔法に対する絶対防御効果があるのかもね♪』


”攻撃魔法に対する絶対防御”という言葉にテスラが反応する。


≪攻撃魔法に対する絶対防御効果を得られる防具なんて、魔法使いや精霊使いにとっては悪夢でしかありませんね…。≫


そして、サリバンは別の意味で興奮していた。


≪美少年とスライム…。絵になるザマスッ!≫



アルは、腕組をしながら王さまスライムを眺めて唸っていた。


「う~ん。お前に名付けをしたいけど、“スラリン”とか“スラ吉”みたいな月並みな名前しか思い付かない…。なぁ、お前はどんな名前が良い?」


王さまスライムは、肩の上で静かにプルプルふるえる。


“プルプルプル(カッコ良くて強い名前が良いです。)”


アルは、更に考え込む。


「う~ん。カッコいい名前かぁ…。じゃあ、”プペル”なんてどうだ?」


王さまスライムは、肩の上で全力で横にふるえる。


“プルプルプル(全然カッコ良くないです。)プルプル(それに、その名前は縁起が悪いです。)”


「な、なんだよ縁起悪くないだろ…。じゃあ、“ラオウ”ならどうだ?カッコ良くて強いだろ?」


“プルプルプル(おしいです。)プルプル(もう少し強そうな名前が良いです。)”


「な、なんだとッ!“ラオウ”よりも強そうな名前なんてほぼ無いぞッ!あるとすれば、“マスターアジア”くらいだぞッ!」


“プルプル(それもおしいです。)プルプル(その二つを合わせた感じが良いです。)”


「“ラオウ”と“マスターアジア”を混ぜた名前ってなんだよ…。おかしいだろ。…じゃあ、安直だけど“ラスター”でどうだ?」


王さまスライムは、肩の上で嬉しそうにバウンドすると光始める。


光がおさまるとラスターの色艷が良くなっていた。


“プルプル(拝命いたしました。)プルプル(これより主様の最強の盾になりましょう。)”


「名付けすると性格も変わるの?」


“プルプル(雰囲気づくりは大切ですよ。)”



アルと王さまスライム“ラスター”のやり取りを見ていたムトゥは、ある疑問を感じていた。


≪なぁ、大将はもしかしたらモンスターと会話できるんじゃねぇのか?≫


その疑問にヴァンが答える。


『モンスターだけでなく知能を持つ生物と会話できると思うよ♪この前も、まだ人語を話せない精霊と話をしていたしね♪』


ザックも同意する。


「確かに、サブスクの言葉を私以上に理解していましたね。アル様には、私も知らない能力がたくさんありますからね。」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る