第659話 どこの部隊だ
事務所の入るビルの正面玄関前で
小さく華奢な◯◯急便の女の子が、雨の中、右手に厚手の紙の箱をもった状態で
雨除けカバーのついた台車から、左手でワンサイズ大きな荷物を取り出そうとしている
ところが思いの外、重量のある荷物だったのか
体が左にガクンと傾くのをみて思わず、彼女の右側から両手を差し出しながら近づくと
死角から不意に人が寄ってきて驚いたのだろうか
右手に抱えていた紙箱を、取られまいとグイッと左側に降った瞬間
「あっ?!」
滑った紙箱がスッ・・・と手を離れて飛んでいった
「ああっ、ごめんなさい驚かすつもりじゃ・・・」
花壇脇の水溜りに浸かった紙箱を、慌てて拾い上げる彼女
「ほんとうに、ごめんなさい!」
彼女は胸に抱えた濡れた紙箱を、必死にタオルで拭いている
「大丈夫ですか・・・?」
無言でハイハイハイと頷く彼女
もう、早く行ってくださいと言わんばかりだ
「本当に!本当にごめんなさい!!」
再度声を掛け、俺はビルに入った
よく、「濡れたままで配達しやがって!」とか配達員のマナーの悪さがネットに挙げられたりするが
これは俺の責任なんだよ・・・
あの箱が届いた人、どうか怒らないであげてください・・・
はい!
というわけで谷やん宛てだったという、ミラクルでした~(≧▽≦)
中身が何だったのか知らないが、一応「それ、濡れたの俺のせいやねん」と白状したところ
「えっ?!・・・触れて大丈夫な液体ですか?マヒしたりしません?」
北の科学者か俺は。
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