第630話 便利さの理解度

とある百貨店のトイレで


滅多に都会に出ることのないような風態のお爺さんが、用を足した後に俺の隣で手を洗っていたのだが


ハンカチが無かったのか、濡れた両手をプランとさせ、キョロキョロしている


そして何故か、真後ろの壁に掛かっているエアータオル(コロナで使用禁止中)の前に立ち


そこにパッパッパッと水を掛けて出て行った


水を飛ばすものに水を掛けるとは、どういう用途だと思われたのだろうか


先だって、地方のユニクロのセルフレジで


・・・おそらく、 iPhone の Siri のようなものと思われたのかもしれない


お婆さんが


「トクヤマトキコです。〇〇区から来てます。精算。精算。お買い物終わりましたよ」


セルフレジのタッチパネルに向かい話しかけていらっしゃるのを見て


横からスタッフが「お名前は大丈夫ですよ。お手伝いしましょう」と声を掛ける


「ウチの娘がね、困ったら自分の名前言ってみなさいって」


それは迷子になった時の警察ではないのかな。


便利なのか、よけい分かり辛いのか。

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