第627話 そらぁ怒るわ

俗説では


女は恋愛を上書きするが、男は相手それぞれにフォルダ作ってデータ保存していると言われる


男は、自分がどんなひどい別れ方をしても「嫌われたわけじゃない」と都合の良い記憶にしているし


女は、「終わった恋は過去のこと・過去の人はただの人」なので、聞かれたら普通に話す


男は女に、過去の恋愛をしつこく聞いておきながら、聞いたら聞いたで嫉妬に燃える


勿論その逆パターンもあるようだが・・・



「あーそんなものですかぁ」


「100%そうってわけやないで?あくまでも俗説」


「Tさんもそんな感じですか?」


「俺はもうないよ。まあ20~40代なら当てはまるんじゃないの?あと環境かな」


「どういうことですか?」


「俺みたいに孫もいて、独り身にも不自由を感じていないジジーには、いまさら当てはまらんだろ」


「そうなんすか」


ひょんなことから奥さんに、昔の彼女のことを聞かれた谷やんが正直に話したところ


ここ数日、不穏な空気が漂っているそうだ


「馬鹿正直に話すお前もお前やわ」


「いやでも高校時代の話っスよ?」


「え?」


「俺が16の時の話なんですよ」


「え~、それで怒る奥さんもどうなのかなぁ笑」


「でしょ?!」


「ていうかどんな話をしたわけ?」


「いやごく普通の。家でドラクエしてて」


「ん?誰が?・・・ああ、高校時代に彼女と、ってこと?」


「そうですそうです。どんな彼女?って聞かれたから」


「一緒にドラクエしてた高校時代の彼女の話に、奥さん切れたの?」


「聖水ってあるじゃないですかアイテムに。『聖水の効果ってなんだっけ?』って聞いたんですよ彼女に」


「ゾンビ系を寄せ付けない・・・だったっけ?」


「いや、弱い相手を寄せ付けないんですよ。で、当時やってたのがドラクエ8で、シリーズで初めて『れんきんがま』システムが出来たんです」


「ああ、調合するやつ?」


「そうです。ちなみに聖水つくるには『アモールの水』と『岩塩』が必要なんです」


「よく覚えてるなぁ笑」


「で、彼女に、聖水の効果ってなんだっけって聞いたら、『やってみる?』って言われて」


「言われて?」


「おしっこかけられたんです」


((((;゜Д゜))))


「高校生やろ??」


「俺は、はい」


「え?・・・彼女は?」


「36。今の奥さんと同い年。」

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