第620話 星空2

21時を過ぎる頃、俺は国道58号線を海岸沿いに北上していた


左手には漆黒の海。夜空には満天の星。


今夜はずっと竹内まりやを聴いている


至福の時・・・


ちょっとどこかで、浜辺に降りてみるか。


路側帯に車を止め、エンジンを切る


運転席から降り立つ俺を、通り過ぎる車のヘッドライトが照らしだす


お気に入りの黒のオーダースーツにVネックの白のカットソーを着た、アーリーサマースタイルだ


自分で言うのも何だが今の俺・・・めっちゃ決まってない?


路側帯の隙間から、1メートルほど低い浜辺に降り立つ


サクッ、サクッと砂浜を、波打ち際まで歩いて行く


月明かりに照らし出された砂の上をヤドカリが逃げまどう


ちょっと俺ヤバない?

モデル並みに格好良くない?

(妄想です)


誰か写メ撮ってよ


夜空を見上げながら、更に波打ち際に近付いて行く


この星たちの輝きも、遥か昔の光なんだよな・・・


俺の脳裏に、竹内まりやの「いのちの歌」が流れてくる


い〜つか〜は〜

誰で〜も〜

こ〜の〜星〜に〜

さ〜よ〜な〜らを〜


いつの日か俺も、この星たちのように・・・


地上を見守る光となあああ!!


ばっしゃーん!!!


波打ち際へと続くなだらかな砂浜が、途中で途切れて小川が流れていた


びしょ濡れで呆然とする俺の脳裏に、再び「いのちの歌」が流れてくる


本当〜に大事〜な〜ものは〜

隠れ〜て見え〜な〜い〜

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