第566話 いつものこと

俺はもう、彼はこうなのだ、と思うことにしたので突っ込む気もない



普段の入金・支払い処理を、三井住友のWeb何たらとかいうシステムを使ってやりとりしている


支払い情報を事務のM嬢がまとめ、俺が自席PCで彼女が入力したデータの承認を行うと、銀行に振込依頼が行く


普段は、仮に俺が不在の場合はそのままM嬢が、M嬢も居ない場合はR嬢が代理入力・承認するのだが


午前中に一件、振込み承認しなければならない大口の臨時支払いがあった


ところが俺は外出中・M嬢は休みで、データ自体はM嬢が予約申請をしてくれていたのだが


R嬢から連絡があり、急用で事務所を出なければならないとのこと


承認はどうにかするからとR嬢に伝え、他に事務所に誰がいるか聞くと、宮里くんがいると言う


宮ちゃんか・・・仕方ない、電話を代わってもらう


「宮ちゃん、俺の席に行って電話取り直してくれる?」


「わかりました」


数秒の保留の後、再び宮里くんが電話に出る


「今からちょっと、支払い関係の手続きを代わりにやって欲しいのや。言うた通りにやってくれたら大丈夫やから」


「了解です」


カードリーダーをセットし、カードを差し込み、画面を開き・・・と、宮里くんに理解できるよう丁寧に説明していく


「画面に一覧がでたら、1番上の行の承認を押して・・・」


「金額確認したら、承認を押して・・・」


何とか最後まで手続きをこなした宮里くんに、画面上の完了を確認する


エラーも出ず申請が通り、事なきを得た


「ありがとうな、宮ちゃん」


「いえ!いつでも言ってください!」


いつもは頼みたくないけどな・・・


「あの、ひとつ聞きたいのですが、いいですか?」


「なに?」


「承認ボタン押すたびに画面に出てきた、『しょうにんざむらい』って何ですか?」


承認待 (まち)です

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