第518話 同期
20年近く前、同時期に漁協に参加した漁師のK君は、俺の4つ年下のジャスト50歳だ
普段仲良く連んでいる訳ではないが、同期会などで顔を合わせると色々と話はする
先日たまたま、共通の客と3人で食事することになり、Kが段取りしてくれたのだが
Kと俺が同じ側に座り、対面に客が座る
そのなかで「俺たちは同期デビューだからなぁ」とKに話を振ると
「僕と?Tさんが?」とすっとぼけるので
「こいつ、いっつもこうなんです」と笑うと
「いやいや違うでしょ」Kが真顔で否定する
「ん?俺とは同期じゃないってこと?」
「全然違うでしょ、だって俺◯◯年、(漁協に)参加ですよ?」
「俺もやっちゅうねん。◯◯年、イラク戦争始まった年やがな」
「あれですよ?コロナじゃなくてあれ・・・SARSが流行った年ですよ?」
「おまえ本気で同期じゃないって言ってるの?フセインが捕まった年やで?」
「マイケルジャクソンが捕まった年ですよ性的虐待で」
「古尾谷雅人が死んだ年やぞ」
「宜保愛子でしょ死んだの」
「ちょっと待て。じゃあなんで同期会で何度も顔合わせとるねん」
「あ。本当ですね」
それまで黙ってスマホを見ていた客が口を開く
「まあ2人とも、わざと漫才してるんだろうけど合ってるよ全部。いま調べたけど。2003年の出来事で。」
「おお〜」
「『おお〜』じゃね〜わ。マジで同期やないと思ってたやろお前」
それからはこの"同期じゃない話"を、色々アレンジしながら飲んだ時の2人のネタにしている
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