第313話 説明

イシくん...ウチの小さな営業マン

U部長...ウチの若手取り纏め

谷やん...ウチの脳筋・天然社員


イシくん「A案件がこれで、B案件がこれなので、E案件がこうなります。」


俺「ん?なんで?」


イシ「Aがこれですよね?Bがこうじゃないですか?必然的にEはこうなるじゃないですか?」


俺「だから何で?」


イシ「何でって、こうなるじゃないですか笑」


俺「だから〜、何でそうなんのよ?」


イシ「何でと言われても・・・比較してくださいよ、そうなるじゃないですか」


俺「あのなイシくん。君の頭ではそうなっとるのかも知れんけど、俺にはさっぱりわからん」


イシ「えっ、何で?Aがこれですよね?Bがこれですよね?比較したらEは」


俺「待て待て。君がどんな方程式でそうなると言うとるのか、さっぱり分からんと言うとるねん」


イシ「いやだからAが」


俺「もうええ、もうええ。どう言えばええのかな・・・あのな?川を挟んでクマさん村とウサギさん村があるとするわな?」


イシ「何でそんな話になるんですか!」


俺「キミの頭が硬いからや。あのなよう聞けよ、ここに川があって」


イシ「ちょ、ちょっとまってください。U部長!U部長!助けてくださいよ〜」


U「なに、なに?」


イシ「あのですね、AがこれでBがこれでしょ?そうしたらEはこれになりますよね?」


U「・・・なんで?」


イシ「え〜っもうUさんまで?!何でわからないですかねぇ・・・?」


俺「Uくん、俺とイシくんじゃ世代のギャップがありすぎるから、この子の説明に何が足りんのか、教えたってくれん?」


U「了解です。あのなイシ、お前がマジシャンとするだろ?で、ここにハートの6があるとして、それを赤いハンカチで覆うのよ。で、指鳴らしてハンカチ取ったらスペードのエースになってるわけよ。わかる?」


イシ「いや、これマジックの話じゃないですよ?」


U「わかってるわそんなこと!そうじゃなくて、Tさんが言ってるのは、なんでハートの6にハンカチかけたらスペードのエースになったのか、そのタネを説明しろってことだよ」


イシ「だからタネなんてないですって!Aがこれ!ね?Bがこれ!でしょ?そしたらEは」


U「お前はバカか?!そんなこと言ってるんじゃなくて、なぜAとBを比較したらEになる!とお前が言い切るのか、その過程を説明をしろと言ってるの!」


俺「あーもうええ。絵に描くわ。イシくん、よ〜く見ろよ?ここに、くーまーさーんーむーら。な?で、真ん中に川な、これ。で、川の対岸にうーさーぎーさーんーむーら。な?で、君はここ!川に架かる橋の上の、ここな?ここに立っとるキツネだとする訳」


イシ「さっきキツネなんて居なかったじゃないですか」


俺「いいから聞けや!お前は両方の村を見渡せる、この橋の上にいるの!今!」


U「つまりさっきのスペードのエースな」


俺「それはまたちょっと違うんやけどな」


U「あっ違うんすか?!」



ところでいつの間にか側に来て、腕組みしながら大爆笑している谷やんよ。


お前に説明、変わってやろうか?

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