第290話 失念

とある水曜日、急遽福岡の後輩に確認したいことがあり


午前11時、彼の携帯に電話を掛けた


かなり長い間呼び出していたが繋がらない


打合せでもしてるのかな・・・

まあいい、数分経ったら掛けなおそう


スマホを上着の内ポケットに仕舞おうとしたら、掛かってきた


「◯◯ですけど」


「お〜◯◯悪い悪い、忙しかった?」


「え?まあ・・・」


「あっ忙しかったの?御免な〜!ちょっと教えて欲しい事あってなぁ」


「何でしょうか」


「ほら〜この前連れてってくれた水炊きの店あるじゃん?あそこ何て言う店だっけ?」


「・・・◯◯ですか?」


「あーそうそう!ちょっと客連れて行きたいんだけど、番号わかる?」


「あ・・・一度切っても良いですかね?この携帯のデータ見ますので」


「お〜悪いな!ほな、切るわ!」一旦電話を終える


それにしても後輩は、忙しいのか話しにくいのか


えらく無愛想だし、テンションも低い


"何かあったのかな?"なんて考えていると、すぐに電話が掛かってきた

  

「あの、良いですか。言いますね。***の****です。」


「***の****やな?有難う!ところで何かあったのか?元気なさそうやけど?」


「あ〜元気無いというか、眠たいだけです」


「え?寝てないの?仕事?」


「いえ、違いますね」


「ん?◯◯、何か怒ってる?」


「いや怒ってませんけどTさんに話、しませんでした?」


「え?何を?◯◯今どこ?家?」


「イタリアです」


「はあっ?」


「言いましたよTさんに3日前。そしたら『ブルガリのネクタイ買ってきてくれ』って頼まれましたよね僕に?」


あっ・・・

ああ〜!!


「新婚旅行・・・?!」


「そうですよ。真っ最中です。」


「ちょっと待って?!いま何時?!」


「午前3時です」


ごっめ〜〜〜ん!!!

すっかり忘れてた(ll゜д゜)


後日、ネクタイをくれた彼に謝り倒した


「真夜中に起こしてしもて、ホンマすまんかった!奥さんも怒ってたやろ?」


「いや、もういいですよ。確かに嫁も起きてしまいましたけど、なんか2人とも目が冴えちゃって。やることないから子作りしてました」


あ、それはそれは(´∀`)

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