第158話 大物の分配

米を食べなくなったと同時に、パンも食べなくなったのだが


パン屋に入るのは昔から好きで、ついつい10種類ほど買っては、


頼まれてもいないのに、上の娘のところに持って行ったりするものだから


「食べきれないし、そんなにしょっちゅう要らないです」と釘を刺された


なので事務所に持って行き、好きに食べて良いよ、と置いておくと


戴きますとも何とも言わず、谷やん(ウチの脳筋天然社員)が1人で5個ぐらい食べてしまうので


君は加減というものを知らんのか、食べるなとは言わん、ある程度皆に行き渡るよう考えて食べろ、と注意した


彼はそれを、どう解釈したのか


ある日イシくん(ウチの小さな営業マン)が「Tさんちょっと・・・見て欲しいんですけど?」と


俺を、冷蔵庫や食器棚の置いてあるスペースへと連れて行く


「これ、アイツですよね」


棚の上の、俺の持ってきたパンが全部バラバラにされている


「なんじゃこりゃ?!」


切ったのか千切ったのか・・・パン生地に押さえた指の跡は付くわ、乗っていたであろうメイン具材は無いわ・・・


調理パン的なものって、そうそう上手く切れないものだが、これは酷い


カラスでもおるんか事務所に・・・


その場で谷やんに電話を掛ける


「はい、お疲れ様です」


「お前、俺の持ってきたパンの件やけどな」


「あ、全部6等分にしておきましたけど?」



なんかもう・・・持っていくのやめた

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