第114話 ふふ。
とある客先に訪問していると、外回りから戻ってきた40代のやり手営業ウーマンに
「絶対ウチにTさん来てると思ったわ!」と言われた
「えっ何でですか?」
「わたし匂いフェチなのよ」
「そんな、匂いました?」
「エレベーター乗ったらすぐわかったわ」
「あ〜、そんなにいっぱいかけてるつもり、無いんやけどね」
「そういう意味じゃないの。全然嫌な匂いじゃないのよ、これって・・・」
そう言いながら俺に近付き、肩あたりを手で扇ぎながら、鼻をくんくんさせる
「わからないな・・・なに?」
「エタニティのアクア」
「あ〜聞いたことあるけどあまり知らないな・・・なんの香りだろ?」
「今は時間経ってるから、ラストノートあたりの『石鹸』かな? たしかファーストが『凍ったキュウリ』で・・・」
そう言いながら、自分のスマホでエタニティ・アクアの商品説明を開き、彼女に渡す
スマホを受け取り、少し難しい顔をして画面をスクロールしながら見ていた彼女が
「ふふ。」と微かに笑う
俺にスマホを返しながら
「これ。全部、意味説明してくれたらTさんと付き合っても良いよ」と言う
・・・あ。
以前飲んだ席で、彼女に言い寄ったことあるなぁ・・・笑
「ホンマかいな?おっしゃあ!」
画面を読む
チルド・キューカンバーやシトラス・ノートなどが、くっきりとクールでヴィヴィッドなグリーン・シトラスを香り立たせるトップから、ウォーター・ロータス、グリーン・リーブス、シセン・ペッパー、ミラベル、ラベンダーなどが、フレッシュでありながらインテリジェンスを感じさせるエキゾチック・アクア・ノートを浮かび上がらせるミドルへ・・・
ふふ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます