第42話 はるえさん
地方のビジネスホテルに22時頃チェックインし
シャワーを浴び、疲れていたので23時過ぎにはベッドに入ったのだが
ちょうどその頃に団体客が戻ってきたのか、やけに廊下が騒がしい
どうやらおばちゃんの集団
甲高い声で「わたし、ここ!」「あっ隣やわ!」そんな会話がガヤガヤ聞こえる
5分ほど騒がしかったのだが
「じゃあまた明日!」「おやすみー」という声が聞こえ
徐々に部屋に散開したようだった
ようやく静かになったな・・・そう思って時計をみると23時半
改めてベッドで横になり、スマホのタイマーを翌朝7時にセットし、電気を消す
・・・と、間髪入れず部屋の電話が鳴った
「えっ?」ベッドから出て受話器を耳に当てると
「はるえさん、もう寝たん?」
聞き慣れないおばちゃんの声
即座に先程の騒がしい集団やと気付き「間違ってますよ」と答える
「え?はるえさんは?」
「だから、部屋番号間違ってますよ」
「え?あっ?ごめんなさい」
そういって電話は切れた
なんやねんと思いつつ、もう一度トイレに行っておこうと洗面所に向かう
トイレを済ませ、出てきたところにまた電話が鳴る
はぁ?また?
電話に出ると今度は
先程のおばちゃんよりも低く、ゆっくりな口調の別のおばちゃんが
「はるえさん明日何時に起きる?」と聞いてくる
「あの、部屋番号、間違ってます」少々怒気をはらんで返答する
「あれ?あれ?ごめんなさーい」
そう言って二回目の間違い電話も切れた
それからは電話も掛かってくることはなく、眠りに付く
・・・どのくらい時間が経ったのか、やけに騒がしい話し声で目が覚めた
外はまだ暗く、ベッド横のデジタル時計は5時5分となっている
いろんな会話が入り混じって何を喋っているのか判らないが、廊下でおばちゃん達の騒ぎ声
どうやら集団で早朝から出掛けるらしい
まるで日中のような騒ぎ
これは叶わん・・・
我慢していたが注意せなあかんよな・・・と思いかけた瞬間
「うるさいぞ!まだ寝てる客もいるんだ!静かにしろ!」
どこかの部屋の男性の怒鳴る声が聞こえ、廊下は一瞬にして水を打ったような静けさに戻る
誰か知らんけどありがとう!
そう思いながら、再び眠りについた
・・・はずだったのだが、落ちかけた眠りから電話の音で引き戻された
時計はまだ10分ほどしか経っていない
もう辛抱たまらん
ガバっと起きて受話器を取ると、電話の向こうから半笑いのおばちゃんが
「はるえさ~ん、ねぼすけやね~」と言ってきた
「はるえはるえと!!うるさいんじゃボケェ!!」
怒鳴った自分も相当うるさかったが。
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