西部劇という珍しい題材での物語に気を引かれて読み始めました。
まだ序盤ではあるものの、その時点で魅力は十分に伝わってきます。
物語はテンポ良く、映画の様に展開されていきます。
そして、単なる西部劇でなく『能力』が出て来るのも一つの見所……!
主人公はマフィアから百万ドルの強盗を強要されますが、それを今後、どういう手段で達成するつもりなのか……そして、成功したとして素直に渡すつもりなのかも気になるところ。
登場人物たちの掛け合いも一つの見所だと思いますし、読んでいて楽しい作品です。
所謂なろうテンプレに飽きた人は、少し摘まむつもりで読んでみてはいかがでしょうか。
マフィアのドンからの脅迫にも近い依頼を受け、100万ドルの大金が運ばれるという『エルパソ行き列車』に乗り込むことを決意するアウトロー『ガレット』。愛する妻の『ジャスミン』や強盗団の仲間と共に、迫り来る襲撃者達を異能力『シャルネス』を用いて撃退しつつ、西部開拓時代アメリカの広大な大地を駆け抜ける――。
一章まで読了しました。
マフィアやギャングや保安官が登場する西部劇的なガンアクションもので、更にそこへ能力バトル要素も組み込んでいるのが、個性的で面白かったです。
『西部開拓時代末期』と言われてイメージする要素がてんこ盛りで、ハードボイルドな痺れるカッコ良さ盛り盛りです。命を懸けた死闘を演じ、相手のシャルネス能力によって見せられる甘い幻惑も主人公達を襲う。しかしそんな優しい夢や、自身の過去や闇と決別するシーンなどは、まさに重厚な作風とベストマッチしていました。
西部劇に『異能力バトル』という意外な要素を組み込みつつ、しかし『ウエスタンもの』で見たい展開もシッカリ描いており、まさに『予想は裏切りつつ期待に応えている』のは素晴らしいの一言です。
ただ、そうした重厚だったり硬派な要素が多いのに、文体が軽かった点だけは期待外れでした。
銃を撃つ時に「ダァァァァァン!!!」と表現したり、他にも擬音を用いて「ジーっと見つめた」などといった書き方をするのは、作風やテーマとはミスマッチなライトすぎる表現だと、個人的には思いました。
それと異能力バトルものなのに、敵も味方も自分の能力を相手にペラペラ解説しちゃう部分も、ノリが軽いなと感じます。
こういうテーマやジャンルを取り扱うのなら、冒頭のバーのシーンみたいな、重く硬派で大人向けな雰囲気のまま進めた方が良かったんじゃないかなと思いました。
とはいえ、激しいバトルや異能力を駆使した頭脳戦・心理戦を楽しむことができ、アメリカの都市や荒野や沈み行く夕陽の景色などもハッキリと浮かんできます。全体的にジョジョ7部っぽい感じがしました。そういうのが好きな人にはオススメの作品だと思います。