第376話 混乱を避けたい
メイド服を着た女性達が俺の周りに群がってきて、俺をベタベタと触り始めた。
これが大人の男性なんだ!というような事を言いながらあちこちを触る。中にはどさくさにまみれて股間に触る者もいたが、流石にヒナタに窘められていた。
「いくらこの御方が紳士様でいらっしゃっても、男性の象徴を刺激するような男性に対して挑発行為に該当する事を致しますと、流石に理性が飛びますわ。そこはお止めなさい。はしたないですよ」
そんな形で止めに入っていた。微妙な止め方ではあったが、その後、まずはお寛ぎくださいとメイド服を着た女性達に応接室へと案内された。そして下がる時に皆を連れて参りますとも言っていた。何人かのメイドが残っていたが、大多数の者達はどこかに消えていった。
ヒナタも俺に改めて挨拶をしてきた。
「我が主よ。この屋敷に住まう者達に主様の事を伝え、その後、会ってもらわねばなりませぬ。無用の混乱を避ける為に最優先でです。先程のメイド服を着た者達が御主人様方をお世話を致します故、今暫くの間こちらでお待ち下さいますよう宜しくお願い致します」
「あー、分かった。先程の状態からすると、確かに俺の姿を見ると混乱してしまうようだな。俺も無用な混乱は好まないから、きちんと説明して不安がらないようにしてやってくれ」
「分かりましてございます。やはり御主人様はお優しいのですわね。それでは失礼致します」
そうやってヒナタは応接室を出て行った。
ヒナタが応接室にいる者以外の全員をホールに集めている間、俺達は案内された部屋で待機するしかなかった。
俺も不本位ながら混乱を避ける為に、今は応接室で大人しくしているしかなかった。
皆を集める場所だが、屋敷には舞踏会が開けられるようなホールがあるといい、人数が多いのでホールでとなった。ヒナタがこの町に来てから約20年、その間に毎月1人ずつ女性を差し出させていた為、最年長の者は先程見たメイド達を率いるメイド長で、30歳だと言っていた。
公転や自転周期が分からないが、翻訳機能から地球のそれと同じと仮定して単純計算する。1年が360日前後とし、年間12人が来ていると仮定する。すると、ここには約240名の女性達が暮らしている事になる。先程いたのは30人位がいたので、他に210人前後いる事になる。
30分程すると、先程のメイドの1人が俺達を呼びに来た。
「準備が整いましてございます。ヒナタ様が丁度妹達にランスロット様の事を伝え始めており、今は説明の最中でございます。やはり皆多少は混乱はしておりますが、私達の時のようなパニックにはならないと思います。お手数ですが私を伴い妹達の前に行っては頂けませんでしょうか?先程対面した妹達のうち何人かが一緒に行かなければ、場が混乱するとヒナタ様がおっしゃっております」
「分かった」
俺は一言発すると、1人の女の子が俺の背中に乗って来た。そう、先月連れてこられた1番下の10歳の女の子だ。
その後ひょいひょいと俺の背中を駆け上がり、皆が唖然としている中俺の肩に乗っかってきて、肩車の状態になった。まあいいかと俺も思う。軽いし。
「危ないからしっかり掴まっているんだぞ」
「はいランスロット様!」
そういう訳で、両手をメイドさんに組まれ、1人の女の子を肩車しながらホールに入るのであった。
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