第347話 探索
購入した地図の中には世界地図があり、アルヒオーネやヘイラニアの姿がかなり正確に描かれていた。
その地図は活版印刷だろうか?ワーグナー等で見る木版印刷と比べ、遥かに進んだ印刷物だった。勿論現代社会のそれではないが、全体的な文明レベルが15から17世紀位に感じる。
しかしアルヒオーネやヘイラニアは13世紀に満たなく、文明レベルの差に改めて俺は違和感を感じていた・・・
今はクロエと町を探索すると言う名のデートをしていた。
今日ここにクロエを伴って来ているのは、元々のこの世界で生を受けている妻達の中で1番頭が切れるからだ。
「うふふ。ランスと2人でお出掛けだなんて久し振りね」
妖艶な笑みを浮かべるクロエは妻の中で1番のお色気担当だ。何度も肌を重ねているのにも関わらず、相変わらずの色気にくらくらする。
「うん。久し振りだね。たまにしか2人きりになれなくて辛くないか?」
首を横に振り、腕を組んでのデートだ。
いや違う、この国の調査だ。建物の作りも進んでいる感じで、時代が明らかに違う。
あちこち見て回ったがクロエが感想を述べた。
「変ね。冒険者がいなくてよ。それとカンパニーって何かしら?ギルドらしき物も無いわね」
俺は本気でクロエとのデートを愉しんでいたが、確かに周りの人々の服装も違う。クロエはちゃんと周りを見てくれていたのだ。
俺は相変わらずの事だが、字が読めない。どうやら看板にXXカンパニーとあるらしく、向こうと違って会社があり、運用されているようだった。
俺はタブレットで町の写真を撮っていた。死んだ高校生の数人が、太陽光で発電する充電器を持っていたのだ。それらを大事に使わせて貰っている。
音楽もパスワードを掛けていなかったスマホにあるのを、音楽家に聞かせて楽譜を起こしていたりする。
クラシックが好きな者のスマホからはPDFファイルにしてあるいくつかの楽譜があり、写しを取り、それを発表する事により音楽の世界に革命が起こっていた。
調査の一環で今日はこの町の宿に泊まる事にした。
怪しまれないようにと中級宿をチョイスだ。
宿は向こうと大して変わらないが、風呂が違う。お湯は蛇口を捻れば出る。
どうやらボイラーかタンクがあり、町の様子から木や油、固形燃料等を燃やしてお湯を得ている感じだ。
単純に数世紀前の地球の文明レベルであるように感じた。ワーグナーなどのように魔法を使っていて、魔石などを使う魔道具などの独自の文化が見られなかったから、そういう判断になる。皆が引き上げた後に地図を見ていたクロエが驚きをもって呟いた。
ワーグナーの方面にある記載を見たからだ。
【古来の実験地に付き無許可での渡航禁止】
とあると言われ、衝撃を受けた。
何だよそれは?
久し振りにクロエと2人の時間を愉しんでいて、宿に入るも遅くまで町について話し込んでいたのであった。
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