第333話 転移局到着
転移用のコンソールが2つ共支配下にないのは都合が悪い。転移局へ急ぐのは、そちらの方が奪取し易いと考えたからだ。支配されたのか、籠城して持ち堪えているのか分からない。
俺が開けた穴から壁を乗り越えると、転移局の入り口があり、更に奥に扉があるようだ。
しかし、扉から誰かが様子を伺っている感じだ。
早速オリヴィアが語り掛けた。
「私です。戻ってきました。 皆は無事ですか?それと周辺の駆除は完了しています。心配はいりません。さあ出て来てください!」
床にステータスカードが無かったから、既に回収している筈だ。
俺達はゆっくりドアに近付き敵意が無い事をアピールした。
すると何人かの天使がこちらに来たが、オリヴィアの姿を見て安心したようだ。
その中の一人がオリヴィアに話してきた。
「良かった。ちゃんと救世主を連れて来てくれたんだね。これであの方も浮かばれるよ」
そうして招き入れられ、オリヴィアは頷きながら中に入る。
そこは正に俺達を転移させた、その場所だったようだ。覚えはないが、オリヴィアからそうだと伝えられた。
転移局にいる天使が全て出てきた。
オリヴィアによると半数位しかいなく、1番上でも5級天使しかいないのと、オリヴィアの上司も居なかった。
「俺は下界で天使に生まれ変わったランスロットだ。見ての通り1級天使だ。そして君らの知っている彼女は3級天使にして俺の妻だ。彼女に全てを報告し、指示を仰ぐんだ。奴らは俺が倒してやる」
皆が床に頭を擦りながら、俺へ恭順の意を示した。
まずは一部の者に中を案内させて、オリヴィアに報告をしていって貰う。
ふと思い出した。今のはオリヴィアに触れた時に見た幻影だった事を。
まずオリヴィアの直属の上司だが、オリヴィアを転生させる為に自ら生け贄となったと。それと所長は上級天使の住居地にいた筈だから、既に死んだと見なされていた。
今は皆の努力で空間の歪み等は無くなっているが、奴らは歪みから文字通り異世界、他の星のレベルではなく、異次元、又は他の宇宙から来ているようだ。
既にいくつかの星が奴らに飲まれているらしい。
認識が難しいが、並行世界が存在しており、異次元、そう、他の次元や並行世界とゲート等を繋げるのは本来神にしか不可能らしい。しかし、現実問題として繋がってしまったと。
その為にダメージが大きかったのだと分かる。
転移局は転生を行う部署だ。暫く出来ていなかった為に、今は転生待ちがかなりあるらしい。
副長が生きていたので実務は問題ないらしいが、居住区との通路を既に確保したと伝えるとかなり驚いていたのが印象的だった。
彼らは何度も居城区へ続く通路を確保しようと突破を試みたが、駄目だったらしく、やむを得ずオリヴィアを送ったそうだ。
接点が無い者だと出会えないからと、俺を転移したオリヴィアが選ばれたそうだ。
通常任務を行わないと魂が救われないそうで、今は速やかに転生を始める必要があるそうだ。良く分からなかったが、オリヴィアが頷いたから任せた。
また、まだ実行されていないワーグナーから要請のあった勇者召喚の為の転移は俺の権限でキャンセルさせた。
転移を取り消しする権利は天界にあるそうだが、キャンセルすると神界に知られ、介入される可能性があるらしい。なので、本来は所長以上の権限で、間違いを防いでいる。
なぜそうなるのかよく分からないが、少なくともワーグナーからの転移を実行すると、まず間違いなく天界が崩壊する内容だったのである。
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