第312話 蘇生

 魔王の奴隷をさせられていたセレーシャ達を呼んで、倒した奴がそうなのか否なのかについて確認をするも、首を横に振り否定した。


 セレーシャ達に聞くと、こいつは以前は一軍を率いていて、どこぞを攻めてはいたが、それ程極悪非道な事はしていないという。そして最終的に城の番人をしていた。街の者を面白半分に公開レイプしていたのは別の者という。

 悩んだ末に奴隷にして蘇生させたうえ、嘘を禁じて尋問する事とした。


 セレナを呼んで敵対勢力が周りにいない事を確認し、他のドラゴニュート達はアリゾナに任せ、俺は一旦ワーグナーに戻る事にし、俺とセレナ、アリゾナ以外を返した。そして奴隷にしてから死者蘇生を行い、ブラックアウトした後、俺、奴をワーグナーに連れていって貰ったのであった。


 意識を取り戻すと俺の布団に何故かセレナと裕美が潜り込んでいた。

 頭が痛くて唸っていたが、意識を取り戻した俺に魔王城で倒した奴が無事蘇生し、身柄を拘束して牢に入れていると伝えられた。


 今は寝間着を着せてもらっている。装備を整え、護衛を伴い尋問に挑む。


 既に真の魔王による奴隷契約による拘束は解いていて、俺の奴隷にしている。

 なので嘘を禁じて尋問を始めた。


 ひょろっとして170cm位の何処にでもいそうな高校生だ。勿論黒髪黒目だ。


 奴はペラペラと喋り出した。質問していない事もだ。


 どうやら召喚されて2か月程度で、召喚時に奴隷にされ、あの城の防衛を命ぜられた。

 悪い扱いはされず、いずれ勇者が来るから、倒したら奴隷から開放してやると約束されていた。城を3ヶ月守れば女を1人宛がってやり、以降は1ヶ月に1人を加えてやると。


 真の勇者を倒したら日本に送り返してやると言われていた所に俺が来たと。


 殺したのは城を攻めに来た者のみだと。


 自分は魔王として召喚され、やりたい放題出来る筈が何でだ!とぼやき、俺が世界を統一し、争いのない世界を築けられるのにとつらつらと喋りだした。


 どうも精神に異常をきたしている感じで、目が泳いでいる。


「なんでだよ!お前を倒して真の魔王様が世界を統一したら、俺が世界に平和をもたらした英雄としてハーレムうはうはだったのに!くそが!邪魔しやがって!お前が死ぬばこれ以上の争いが無くなるのに!ふざけんな。本当の勇者は俺なんだよ!こんな事は許されないんだ!開放しろ!」


 本気で世界を救い、平和にしたら女は感謝で自分に惚れ、救国の英雄として崇め奉られた筈だと本当に信じていた。名前も明智光秀と名乗り、本気で明智光秀の生まれ変わりだと思い込んでいた。勿論違うのだが、心が嘘を言っていないので、本人は本当の事としてしゃべる事が出来るのだ。


 魔王は女で、両性具有者だとか、頭が2つある等、話す事は支離滅裂だった。また、既に尻を掘られたとか。更に身長が2mを越えていて、声はアニメ声とか。いつも裸で彷徨いている等だった。


 セレーシャに聞くと、細身で仮面を被っていて、顔は見た事が無いらしいが、身長は160-170の間、声はハスキーだそうだ。もちろん頭は一つだ。


 俺は自称明智光秀の尋問を諦め、明日また魔王城に行く事にした。


 こいつには任務を与える事にした。シューマン山の向こうに魔物が大量にいるから、明日から世界の為に英雄として倒しまくれと。


 そうすると嬉しそうに、俺は英雄として行くぞとぶつぶつ言っていた。流石に装備無しで放り出すのも可哀想なので、それなりに戦える装備を与える事にした。


 そしてまだ気分が悪いが、一旦魔王城からドラゴニュート達を呼び寄せ、こちらに招いたのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る