第242話 ダンジョンの先へ

 何故こうなった?

 何が悲しくておっさんと2人の食事をしているのだ?


「なあヒロミ」


「皆まで言うな。お主の言わんとする事は分かっておる。言葉にすれば余計悲しいと思うぞ」


「いや、そうじゃなくてさ、戦い方だよ。俺は魔法特化で、最終手段は時間停止だ。ただ反動が酷くて1週間は赤ちゃん返りだ。しかもずっと誰かの乳首を吸っていないと耐え難い苦痛に襲われる。剣も剣術を師範代より授かっているから人間相手なら負ける事はないよ。しかし力が足りないので力負けする事があるんだ。今はハイエンジェルだが、それでもだ」


「そうじゃな、儂は封印されており魔法が使えぬが、代わりに強靭な肉体と剣術に特化しておる。基本はお主の魔法で倒す。後方からはお主で、討ち漏らしを儂が担当じゃろうな」


「まあそうだよな、まずはそれでスタートしよう」


 そうして装備を整えシェルターの外に出る。

 特に何もなくシェルターを収納する。通路には魔物がうじゃうじゃとい・・・なかった。拍子抜けするが、念の為通路に特大のファイヤーボールをお見舞いし、ダンジョンの2人旅がスタートしたのだ。


 時折分岐路があると思うと分岐の先は10m位進むと小部屋だったり行き止まりで、基本的に一本道だ。


 10分位進むとようやく魔物が出始めた。どうやら何故か俺達が落下した場所に集中して現れていたようで、既にこの階層の殆どを駆除していたようだ。リポップはまだ先の筈だ。


 そして更に20分程進むと、上に登る階段を発見した。というよりも選択肢が無い。

 そして階段の所に何か文字が書かれており、ヒロミが読んでくれた。


「淫魔のダンジョンへようこそ。何の罪で堕とされたのだ?くくく。生きて地上まで上がる事が出来れば、ダンジョンより出られ、さすれば罪も消えるであろう!そして褒美として願いを叶えてやろう。叶えられる願いは可能なものなら1パーティーにつき1つ叶えてやろう。出る事が出来たのならばな。ここは1509階。まあ頑張れや」


 俺は愕然とした。1500って!と俺が呆然としているた。


「これは流石にな死ねというのと同意語じゃのう。直ぐに食料が尽きるだろうからのう」


「そっちは大丈夫だ。俺の収納に十分ある。それより問題は時間だ。5ヶ月しか時間がないんだ!それ以上だとセレナが死んでしまう。1日につき10階層は進まないとなんだ!」


「ちと厳しいのう。相当気合を入れねばなるまいて。あの髪の長い娘の事か?」


「そうだ、彼女だ。頼む!力を貸してくれ!何でもする。出来れば元の世界に帰してやりたいが、ヒロミもそうだが数年後もこの世界にいる筈だ。お前もだよ。時間が無いのは彼女が魂食いに魂を喰われ、残りの寿命が約5ヶ月しかないからなんだ」


「お主、刻印の儀式をしておらんのか?」


「こんな事ならやっておくんだった。長い時を生きるから、少しでも大人の体になるのを待ってあげようとしたんだ。本当は20歳の誕生日の予定だったんだよ」


「彼女の事を愛しておるのだな。羨ましい事だ」


「うん。そうなんだ。彼女の為になら死ねる位にはな。まあ俺が死ぬと彼女は確実に死ぬんだけどね」


「相当無理をする事となるぞ!」


「分かっている。頼む!協力してくれ」


「そうだな。お主、儂が地球に帰れぬと思っておるのか?」


「俺と握手した時に幻影を見ただろう?俺は途中で意識を無くしたから殆ど覚えていないが、数年後にダンジョンに一緒に入っていただろう?そういう事だよ。アレは今まで一度も外れた事がなく、女相手にしか今までは発動しなかったんだけどな!ヒロミは実は女だったりしてな。ってそんな訳無いよな」


「帰れぬと。そう言うのだな。分かった条件が2つある。ダンジョンクリアーの報酬を儂に使わせてくれ。恐らくダンジョンを出た褒美で元の人間の姿に戻れると思う。そして帰れぬのならお主に儂の希望を一つ叶えて貰いたい」


「報酬の件は当然の主張だ。幻影時のヒロミの顔は見られなかったが、魔物の姿でも今の姿でも無かったから、人間に戻れていると思う。俺に対する希望は?俺で可能なら何でもするが、俺は体の関係は女としか持たないからな!男同士で乳繰り合う事や、妻達を抱かせろと言う事以外なら何でもするぞ!」


「大丈夫じゃよ。お主にしか出来ぬ事だし、儂も異性しか抱かぬよ!じゃが今は願いは言えぬ」


「分かった。じゃあその時が来たら言ってくれ。よし、先は長いから急ごうか!」


 そうしてダンジョンクリア=脱出に向けてスタートしたのだった。

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