第239話 おっさんの死

 俺はひたすら戦っており、足元に転がっている邪魔な魔石を収納にいれつつまた戦う!のを繰り返していた。

夥しい数の魔石が転がっている!


 そしておっさんの死体が転がっている。念の為に無理矢理に隙を作り、切断された頭部を掴み収納している。

 きりがなくもう数時程間戦いっぱなしだ。流石に疲弊してきている。

また、 今の状況に至ったのは落下直後に遡る。


 俺はふと目覚めると、足が砕けていて、頭も痛い。腕も折れている。ヒールを掛けて、まずは自分の体を治した。


 おっさんが俺を庇いつつ戦っていた。


「坊主、最早これまでだ。お主だけでも何とか生き残れ!」


 そう言うと崩れ落ち、間髪入れずに得体の知れないドレッドヘアーの化け物におっさんの首は切断され、目の前で死んだ。

俺は信じられない光景を見てしまった。あのおっさんが死ぬのは想像出来なかった。


 俺は訳も分からず戦い、周辺の奴を倒していく。どうやら魔物のようで、倒すと魔石と時折何かをドロップしている。


一度ならずそれらを踏んで躓いたり転けてしまったので、俺は掃除代わりに収納に入れていく。


 周りを観察した。どうやら天井は塞がれており、今いるのは20m四方位の洞窟のような空間だ。


 道が一つのみあり、そこから際限なく魔物が現れる。

 魔物が魔石をドロップして消える事から、ここはダンジョンなのだろうなとは思っている。おっさんの脚は捻れていたから、落下時に折ったのだろう。傷も酷い。武器は俺のを使っていて、アンタレスを左手で使っていたが、右腕は既に無かった。

おっさんは俺の能力を知っていたのか、知らなかったのかは分からないが、俺を守ってくれた。有りがたい。


 そうして訳が分からぬまま、ひたすら戦っていて今に至る。


 何とかこの空間の、出口に向かっている。更に10時間が経過しただろうか?やっと奴らがまばらに来るようになり、特大のファイヤーボールを投げ、間髪いれずアイスウォールで道を塞いだ。更にシェルターを出して完全に塞いだ。これで簡単には入っていは来れない筈だ。

 シェルターはまず壊れないからだ。これで一息つける。


 取り敢えず状況を整理する事にした。

 念話が出来ず、ゲートも無理だ。

 ステータスを確認すると、ナンシー達の刻印がちゃんとある。


 魔物は魔石を残して消えたから、ここはダンジョンなのだろう。


 先に進まないとどうにもならないという事が部屋の作りで判断できる。


 食糧は妻達全員でも2ヶ月は行けるから心配はいらない。セレナの寿命まで後5ヶ月の間に脱出出来るかが最大の問題だ。


 腹が減ったなと思い出したので、シェルターに入り、食べ物を2人分出した。

 取り敢えず腹を満たし、おっさんの体を治す。ヒールで体を繋げ、欠損修復を行った。


 そして、シェルターの入り口付近で死者蘇生を開始だ。


 間もなくおっさんの心臓が動きだし、気絶する前に何とかシェルターに入り、扉を閉め、意識が遠退きつつも何とかドアのロックを掛けてから意識を手放したのであった。

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