第214話 日常
俺は目覚めると誰かの胸に抱き抱えられているのが分かった。胸の感触からはクロエの筈だ。
猛烈に吸いたくなり、クロエの服を捲り、乳首に吸い付いた。クロエが痛そうに呻いているが、それでもチューチュー吸っている。無意識に赤ちゃん返りをしていたのだ。
今回の吸いは数分間チューチューしていたそうだが、ふと意識を取り戻す。
何故おっぱいを吸っているのかについて直ぐには理解できなかった。おっぱいは好きだけど記憶がない。おっぱいの主が、いや、声からクロエが辛そうに呻いているのが分かった。
俺は慌てて口を離すと、クロエの胸は赤く腫れていた。俺は慌ててヒールを唱え、一緒にいる残りのメンバーにもヒールを掛けた。恐る恐る乳首を見ると赤く腫れ上がっていたのだ。ハッとなり赤ちゃん返りをしていたのだと理解した。
「すまん、意識を取り戻した。痛かっただろう。ごめんな」
「ああランス。良かった。丸一日赤ちゃん返りをしていたのよ」
「えっ!?そんなに長くか?時間停止のスキルを使った反動が段々酷くなってきているのか?」
「どうでしょう?前もこんな感じだったわ。今の所は誤差の範囲しか差を感じないわよ」
今は、ダンジョンから戻ってほぼ1日という。交代交代で俺の幼児退行を知っているメンバーで介護をしてくれたと教えてくれた。反動がきつ過ぎる。やはり基本的に再度封印だな。
状況を聞くと、セレナ達はジャックナイフに1日の所に先程着いたという。今はその町の周辺の探索をしているそうだ。俺はクロエ達にお礼を言い、セレナ達を迎えに行く事にした。
そして連絡役を除いてワーグナーの屋敷で食事をする事として、準備をして貰う。
セレナに念話を送った。人目の無い脇道等に皆を待機させて一旦屋敷に来るようにと。
20分位するとセレナが現れ、熱烈なキスをされ、そして泣かれた。
約10日目振りだから仕方ない事だ。久し振りのセレナは可愛くてそして美しかった。
皆を待たすのも不安にさせるので、数分間セレナを抱きしめてからジャックナイフ遠征組をピックアップしにセレナに連れて行って貰った。俺の姿を見るとやはり皆に抱きつかれた。
妻達をひとりひとり順番でキスをし、取り急ぎ屋敷にゲートを出して馬車ごとワーグナーに連れ帰ったのだ。
ボレロには今日はフレデリカ、セッカが連絡役で残り、メイベルがカービングに残る。
とりあえず遠征組を風呂に入らせる。男衆をカービングの屋敷に全員送り込み、向こうの大浴場を使わせる。
そして俺はというと、皆に風呂へ拉致られていった。どうしてこうなった!?手足の全てを拘束?されて皆に洗われまくっている。妻以外もいる。セレナやライトアイ達もだ。
ダンジョン同行組以外と、幼児退行時の担当以外が皆いる感じだ。何故か水樹もいる。以前見た通り本当に子供だ。
トリシアがやはり息子をイタズラしようとするので、皆に風呂で何をするのだと袋叩きに遭っていて、久し振りに笑ってしまった。皆久し振りだし、特にボレロ組は俺とスキンシップを碌に取れないまま遠征に向かったのだから、まあ甘えたかったのだろう。そして俺は皆に求められるまま体を洗ってあげた。何故かセレナも水樹もだ。残念ながら俺は風呂場では賢者モードだ。ついでに皆の体付きを確認していったが、特に水樹だ。
彼女の体は確かガリガリだったが、歳相応の体重になっているようだった。
ドロシーがぼそっと言う。あの5人はちゃんと冒険者としてやっているよと。
俺は思い出せなかった。
「5人って?」
「カービングの地下牢で死に掛けていた者達です」
「ああ確かに5人だな。そう言えば彼女達とルシテルがいないね?」
「ルシテルさんは今日の夜伽当番になりましたから」
「ああそういう事か。5人組はどうするのかな?やっぱり俺の所に来るのか?そういえば身辺調査をするって言ってなかったか?」
「それはですね、全く問題ありませんでした。彼女達はランスのハーレムに入りたいと言います。どうされますか?」
「一旦先送りかな。明日からジャックナイフ攻略だ。多分またダンジョンに籠もるだろう。娶るのはその後かな」
皆いつの間にか静かに耳を傾けていた。
「すまなかった。もうこの話は終わろうね」
そう言うと皆が甘えてきた。
俺達が余りにも長風呂なので呆れ顔になったクレアが食事だよと言いに来てくれた。
風呂を出ると俺は着替えまで皆にされてしまった。
食事も久し振りの大人数だ。料理人の腕も良いし、フルコースだった。美味しいし、とても幸せだった。その後総督達との打ち合わせをして、ルシテルとエリシスの今日の当番の2人を伴い、久し振りの自宅の寝室で寝るのであった。昨夜はカウントに入っていないのであしからず。
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