第156話 ロトナは残念さん?

 オリヴィアにはウインクをして3人の反応を見たが、恥ずかしそうにもじもじしながらも服を脱ぎ出して、残るは下着のみとなった時点で止めさせ、服を着て貰った。

 三角巾を外して顔全体が見えたので少し違和感が有るが思い出した。

 

「申し訳ない。君達を試しただけだから服を着て欲しい。俺は好きにならないと抱かないからね。それに勇者による刻印はお互い心から好きにならないと失敗するし、チャンスは一度だけだから。本気なら時間を掛けてお互いの信頼を築いていかないといけないからね。あと君は昨日馬車に轢かれて腕を骨折した神殿の手伝いをなされている方ですね?」


「はいそうでございます。恥ずかしかったですが、試されておいでなのは分かっておりましたので大丈夫です。私をお助けくださりありがとうございます。お陰で顔に傷が残らなかったですわ。あの時の紳士様がまさか勇者様だったとは驚きです。このような卑しい身分で御座いますが、身請けをして頂く訳には参りませんでしょうか?どうか宜しくお願い致します」


 服をきてからスカートをちょこんと持ち上げて、あの時に見た優雅なお辞儀をした。他の2人も同じくお辞儀したがやはり優雅だった。俺は引っ掛かったなと心の中でガッツポーズをした。


「貴女は確か子供を庇い馬車の前に飛び出していたよね。凄いと思いました。折れた左腕は大丈夫ですか?さて貴女は私との繋がりが有りますが、貴女方の接点が今一なのですが、お会いしていますか?それと多分貴女は王女様でしょう。神殿の手伝いをしていると聞いた事がありますし、所作が王族貴族のそれであり、市井の民とは一線を画す物です。貴女に触れた時に幻影を見ました、貴女もそうでしょう?」


「やはりばれていましたか。私もランスロット様と共にランスロット様が率いている一軍に従軍していて、助言をしている幻を見ましたし、ご寵愛を受けていると理解しました。改めまして第2王女のロトナに御座います。お慕い申し上げます」


「やはりそうでしたか。いや、これは参りました。ロトナさんの言っている事は分かりましたが、こちらのレディはどういった立場で?確かきのう昼食の時にメイドとして控えていましたよね?見覚えがあります。王様が貴女方に目配せしていて、気になっていたのですよ」


「ふふふ。恐ろしい方ですわね。国王との食事で普通は緊張していて何を食べたかすら覚えていない方が殆どなのに、そこまで周りを気にされる余裕が有るだなんて、私の目に狂いはなかったようですわね。因みにもう大体何者かなのかとお分かりなのでは?」


「うーん多分少なくとも一人は妹でしょう。もう一人は従姉妹か従妹等、又は違うと思いますが考えられるとしたら姉妹で年齢が一歳程度の年子でしょうか。その為姉妹ではないと思います。それより気になるのは貴女の態度です。無理をしていますよね?」


「素晴らしいですね。ああいいわあなた。ふふふ。やっぱりばれているのね。もう、折角勇者様を脅かそうと思ってたのに、いやになっちゃうわね。でもね、私がランスロット様を好いているのは変わりなくてよ。因みに従姉妹だという推測は正解よ!凄いわね!貴方の一番恐ろしいというか、凄い所はその観察力とそこから導き出される解析結果ね。ちなみに一人は母方の従姉妹よ。それと少し違うのよ。ふふふ。引っ掛かりましたわね!貴方が触れたのは妹の方なのよ」


「やはり君達は双子か。いやー、昨日怪我をされたのがロトナさんではないという事は先程確認していますよ。気が付いていませんか?」


「えっ?どういった事でお分かりになったというの?出任せでなくて?」


「胸の大きさですよ。違和感を感じたんですよ!」


 皆にジト目をされヤバイと感じた。本音が溢れてしまったのだ。取り繕わなければ!


「冗談ですよ。身長や髪型、顔付きからは本当に分からなかったのですが、振る舞いと喋り方に違和感があり、鎌を掛けたんですよ。アリアさんが手伝っているのは神殿ではなくて孤児院ですし、それに折れたのは腕ではなくて脚ですよ。あと胸は妹の方がでかいだろ!?違うか!?」


「ああ!胸の事は言わないで、お願いだからやめて。そうよ、聖女なんて面倒くさいのなんて私に似合う訳がなくてよ!どうせ私の胸は小さいわよ」


 ちょっとこの残念娘に腹が立ってきたが、妹の方と向き合い、改めてよく見たが間違いなく昨日の娘だと理解した。俯いているのでよく分からなかったが、ついその手を取った。


「聖なる乙女よ。お体は大事有りませんか?きのうの勇気ある行動に感服致しました」


 キザったらしく貴族の挨拶をする為に手に取った、その小さな清らかな手にそっとキスをしてから向き合った。


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