第141話 天界の異変

 クロエは俺を諭す事にしたようだ。


「良いのではないでしょうか?もう今更だと思いますわよ。私ことクロエとオリヴィア、そしてセチアさんの3人を一緒に娶りなさい。貴方は私達3人を養う甲斐性が有るし、その力が有る筈ですよ!」


 3人から強烈に見つめられ俺は頷くしか無かったが、何とか本当に良いのかと再確認をする事が出来た。


「まだ会ってから殆ど日が経っていないが良いのかい?オリヴィアに限って言えば今日会ったばかりだよ!俺自身は言っちゃ何だが人を見る目には自信があるから3人共素晴らしい女性で有り、類い希なる存在という事は分かるが、俺は既に20人以上の女性を庇護下に置いているんだ。つまりハーレムの一員になる事を意味するのだが、分かっているのか?勿論俺の所に来てくれるのは嬉しいし、大事にすると誓う。それにこの命の及ぶ限り守るつもりだ」


 3人が俺の手を握りながら頷いているのでどうやら受け入れているようだが、やはり手帳に記載されている考察が有った通り、隠れているスキルかギフトに魅了系の能力が有るのだろうな。スキル名がすけこましだったとしても驚かない自信がある。


 今考えると一方的な魅了ではなく、強制的に相思相愛になり、ハーレムを築くハーレム王と言う名前のスキルだったとしても不思議ではない。

 そう思っている事を後で記録しておこう。


 料理が来たので食べながらだが、オリヴィアが俺の転移や天界に何が起こったか説明してくれていた。俺が転移した時等の説明が終わり、その後の話しになった。


 オリヴィア自体は天界の一般の一天使であり、人間界で言うと普通のOLの立場で、人間で言うと18歳だったそうだ。


「あれはランスロット様を送り出して1週間位経過した後に最初の異変が発生したんです。転移者が死んでいたんです。次に数日後に意識がある人が来て大騒ぎになり、その2日後にはオークが転移者として来たんです。一度大天使様が魔方陣を確認され、破損が認められ、その破損箇所自体は修繕されたのですが、更に2週間してからですが、生きたミノタウロスが召喚されて来たのです。それから2ヶ月間は特に何もなかったのですが、その後の転移があり得ない状況で、バルバロッサからの転移が幼い子供ばかりでした。しかも3年前の転移が何故か遅れて来て、結果的にその子達は3年前に時間遡行してしまい、天界のあちこちに歪みが発生したのです」


 声がかすれてきたので、一旦飲み物を飲ませてから話を続けていく。


「この異常事態に際して以前から異変がなかったかと調査がなされたのですが、1名余分に転移している事が発覚しました。更に調査の結果、私が担当した案件で、ランスロット様が巻き込まれていた事が判明したのです。本来ならば送り出すのではなく、元の世界に送り返すのだそうで、規則を無視した私がランスロット様を助け、事態の収集をする事となったのです。ですが、異変の所為か私の能力が使えない状態で転移じゃなく、転生させられたのです。しかも19年前に転生ですから、私は追放されたのです」


 オリヴィアの話を聞く限り、思い込みが激しそうだ。先に聞いていた魔王を討伐するというのも眉唾物だ。

 俺のギフトの完全解放も疑わしい。

 恐らく俺に付与されている能力が事態の収集を可能にする可能性を秘めていて、オリヴィアをサポートにするべく転移しようとしたが、失敗して過去に転生したのだろう。

 何故か分かるのだ。


 俺の考察としてその事を伝えると、3人は唖然としていた。複雑な事になってきている。


 オリヴィアに俺は質問をした。


「君自身が何を言われて転移を実行したら、実際は転生したのかと、聞かされていた内容だと本来はどうなる筈だったのか、その事を脚色無く伝えて欲しい」


「私がある任務を託されました。ランスロット様が鍵を握っているので、転移してその者を陰日向になり助けなさいと。転移時に関わった者でなければそれが出来ないと。魔王を討伐するか、私の能力でランスロット様のギフトを全て開花させ、助力を求めるようにと。この問題が解決できないと私が帰る場所その物が消滅するので、帰る事が出来なくなるのだと言っていました。ランスロット様が勇者で、私の能力は転移により一旦封印されてしまうから、ランスロット様に勇者による刻印というのを刻んで貰う必要が有ると。愛される必要が有り、それにより封印が解除される可能性が高くなるそうです。幸い私が付与してしまったギフトに今回の事態を収束させる可能性が秘められているのと、放置するとランスロット様がどのみち命を落とすからと聞きました。しかし、私の転移の説明の時点で異変が起こり、緊急で、しかも説明の途中で転移を開始したのです。そして気が付いたら赤ん坊でした。因みに勇者による刻印とは?」


 俺が思っているよりも事態は深刻そうだ。彼女を俺のサポートとする為に天界から何とか送り出すのが精一杯で、説明を完了できる状況ではない程深刻だったのだろう。彼女は追放ではなく、天界が最後の力で何とか送り出した希望の綱なのだろう。転移が間に合わず、止む無く転生に切り替えたのだろう。


 食事を終えて一旦屋敷にて突っ込んだ話をする事になったが、転生後のオリヴィアの生い立ちを理解していなくて後に驚く事になるのだが、美女3人との楽しい筈の食事は苦い思いにかき消されたのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る