第118話 アイテム強化その1

 王都に戻ってからは、先ず家具店で完成した家具を引き取り、先日ゲットしたロングソード15本とブロードソード5本に魔石による強化を行ったのを、おっちゃんの店で売る事にした。強化値は3-6で各々15万~70万で売れ、合計600万程になりナンシーに預けた。

 おっちゃんが呆れた顔をしながら


「売って貰って有り難いが、よくこれだけ持っているな!」


 おっちゃんは大袈裟に手をひらひらさせて言う。


「盗賊を討伐してさ、そいつ等が意外と溜め込んでいるんだよ」


「出所は盗賊か。そう言えばお前さん二つ名が出来たそうだぞ」


「えっ!マジですか!」


「どうだ知りたいか!?」


「うーん知りたいような恐いような」


「ふふふ教えてやろう!聞いて驚け、すけこましだ」


「へっ?」


 情けない声を出してその場に崩れ落ちたが、おっちゃんはどや顔で腕を組んでご機嫌だ。


「すまんすまん冗談だよ。驚くなよ!なんとハーレム王だよ」


「あんまり変わらんと思うが」


 ナンシーを見ると頷いてどや顔でいう。


「ランス、知らなかったのですか?かの伝説の勇者もかつてはハーレム王と崇められていたのですよ!」


 俺は何も考えられなくなり、呆然として屋敷に帰った。皆を置いてとぼとぼと歩いていたそうだが、どのような道を辿っていったのか覚えていないが、皆はそんな俺をそっとしており、その後をずるずると金魚のフンみたいに着いてきていた。


 屋敷に帰るとトリシアが俺に体当たりをしてきて、あっさり弾き飛ばされた!


「何辛気臭い顔をしているんだい!?ランスには似合わないぜ、じゃなくて似合わないわよ!」


 デコピンをされてしまい、そしてミザリィが追撃をして来た。


「ダメダメそんなんじゃ。そんな顔をしているとお姉さんは悲しいぞ!」


 ほっぺたに両手を当て、頬をうにうにとしてきて、ニンマリしながらキスと共に口の中に何かを入れてきた。トリシアもだが、何故キスで口移しなのだろうか?今度は甘いお菓子だった。


「それでも食べて元気を出しなさいってば!」


 完全にお姉さんキャラで魅力的過ぎて頭がクラクラする。やっぱりエルフは素敵だなあ。

 しかも彼女はトリシアとはまた違った感じで、遠慮無く接してくる貴重な存在だ。


「トリシア、ミザリィ、ありがとうな。ちょっと武器屋でさ、ニつ名を伝えられてショックだったんだ」


「何をそんな事でうじうじしているの!貴方は貴方でしょ!うじうじしていないでお風呂にでも入ってきなさい。準備してあるわよ。ハーレム王ってあの伝説に名高い勇者と同じ二つ名って名誉な事じゃないの。誇りに思いなさいね!!何なら私が洗ってあげるわよ!」


 最後の方ははっきりとは聞こえなかったが、納得したようなしないような。そのままミザリィ達にお風呂に連れて行かれ、気が付いたら風呂から出ていた。それと、今まで拒否していたが、体を洗われていたのと、着替えも誰かにして貰っていた。大人になってからパンツをはかせて貰うのって恥ずかしいだろう。でもこの世界の貴族はメイドや奴隷に体を洗って貰ったり、着替えや体を拭くのまで全てをやらせるのが当たり前だと聞いて驚いた。


 余りのショックに茫然自失な状況だったが、セレナにビンタをされて正気に戻った。

 俺ははっとして場違いな事を言う。


「あれ?セレナ、元の姿だぞ?」


「あれれ?またやっちゃった。てへ♪」


「てへ♪じゃないよ。可愛いから許すけど、気を付けるんだよ」


「うん。ごめんなさい」


「素直で宜しい!じゃあ晩ご飯にしようね!」


 二つ名のショックの為か、セレナの姿が戻っていた事を軽く見過ぎていた。


 それはさておき、我が家の食事事情は劇的に改善されている。料理人の2人がカテゴリーの違う料理人の為、メニューが豊富だったのと、腕が良いのだ。流石は公爵家の料理人と上級貴族の料理人だったので、若いとは言え腕は確かだ。キッチンが小さいと嘆いていたのには心が痛んだ。もっと大きな屋敷が良いのかな。


 食事の後1人で執務室に入り、今まで放置していた俺とセレナの装備を見直す。


 先日のダンジョンのドロップの聖女の衣と、アダマンタイトメイルだ。この2つを収納から出し、薙刀を渡した後セレナからミスリルの剣を返されていたので、これにも強化を行い、前衛のエトワールに渡すのと、他にもミスリルのブロードソードが4本有るので1本は販売用、レフトアイ、トリシア、ミザリィに渡すようにする。


 先ずは剣を一通りダンジョンのフロアボスの魔石で強化して行くと一番悪くて+8

 他は+10だ。


「よしこれはレフトアイのだな魔力を込めると見えなくなる剣か」


 呟くとレフトアイが反応した。


「わあ!素晴らしい剣ですね!頂けるのですか!!!嬉しいです!」


 抱き付いてきて、持っていった。


 そんな感じでトリシアには当たると麻痺、気絶、暴走、睡眠、5分間奴隷化、石化のどれかの状態異常を80%の確率で付与するのを渡した。


「変わった婚約の品だな!大事に使うよ」


 そう言うのでデコピンの刑に処したのだった。


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る