第4章

第79話 救出とダンジョン

 day17


 全員で食事をし、ナンシーとは別れ際にキスをし、今日は引っ越の準備の最中だからと帰っていった。


 風呂に入り寝室に。

 フレデリカとシェリーが待っていた。

 今日の添い寝晩はフレデリカとシェリーの2人だ。


 明け方になり、フレデリカと稽古をしてから全員で出撃です。

 フレデリカとの稽古は濃厚な稽古です。容赦するなと言ってはいるが、本当に情け容赦がないのですよこれが。社交辞令が通じない堅物と確定。もう少し位手加減してくれると嬉しいんだけどね。でもフレデリカが好きだ。一緒に居ると落ち着く。鍛えており無駄のない躰は見ていて気持ちいい。


 昨夜これからの事を全員に話し、全会一致でダンジョンに行くと言っています。


 夜明けと供に出発し、オーガの出た森を目指した。

 程なくして到着して森の中に入っていく。


 俺が先頭で次いでブラックスワン。

 最後尾がフレデリカとシェリー。

 ナンシーはと言うと俺のすぐ後ろだ。

 実は俺の能力は魔物を奴隷に出来る。しかも死んだら奴隷紋が消える事は確認済みだ。


 程なくしてオークナイトがオークを15匹引き連れているのを発見。

 殺さずに生け捕りにして、奴隷にしていった。

 ゴブリンの集落を見つけ、ゴブリンジェネラルを筆頭に42匹を捕まえた。

 オーガも出たのでなんとか1匹を捕まえて奴隷に。

 以前は苦労したが今は余裕だ。


 そうしていると勇者達が森の中に入ってきたのが分かる。

 奴隷にしている為にセリカの気配がしたからだ。


 30分程入った所で後ろからオーガに襲わせ、右手からゴブリン、前方からオークをけしかけた。

 襲わせて、戦いに入ったタイミングで奴隷契約を解除してやった。遠隔でも出来るのだ。

 騎士団も同行しており、混乱してはいるが何とか対処している。

 セリカは上手く逃げたようだ。


「イヤー来ないで!嫌だー 」


 叫び声が聞こえた。奴隷は概ねどの方角にいるのかが分かるので、程なくして探し当てた。


 命が掛かっているので、事前に話していた通りに急いで服を脱がせる。恥ずかしがっているが仕方ないので有無を言わせずにやる事を告げた。


「ごめんな。君の命が掛かっているんだ。後から恨んでくれ」


 ナンシー達にセリカの服を脱がすようにお願いした。皆で無理矢理脱がせ、裸にした。

 セリカの左胸を触り奴隷契約を再実行し、首輪を外した。我慢して揉まなかった。でも至福の触り心地だ。こんな時にも胸の感触を味わう俺って・・・・


 俺って偉いよね!揉まなかったもん!とアホな思考になっていた。


 とはいえ、セリカはとても綺麗な躰だ。胸は世界の宝と思う見事さ。そのままオブジェにしたい位に。


「綺麗だ」


 思わず綺麗だと呟いたが、セリカは赤くなっていた。


「しろうさんのエッチィ!」


 そう呟いたが、収納から出した下着を渡し、急いで皆で服を着せ、皮鎧を装着させる。

 俺はというと収納から出した死体にセリカが今脱いだ服と装備を着けてその辺に放り出し、連れてきていたオークに死体を攻撃させた。顔はこちらで予め潰しており、髪の毛も黒く染めておいた。


 死体はほぼバラバラになり、細切れで最早誰の死体かは判らないのを確認し、隷属の首輪を適当に置いた。装備や服の残骸からセリカと判断できるだろう。御丁寧にステータスカードも頭部付近に置いておいた。勿論偽装を施して死亡のカードにしている。


 予めニーベルングが奴隷商にステータスカードを取り上げられていて、カードが無いと申告し、未登録のカードをナンシーに用意して貰っていた。

 早速カードに一滴血を垂らしてセリカのカードを作成した。


 最後にセリカに断末魔の叫びをさせて、偽装を確実な物にした。

 残りの魔物を勇者達が居る方へ突撃させ、俺達はダンジョンへ向かった。

 念の為にトランスフォームで髪の色を金髪に変えておいた。これではセリカとは思えないだろう。

 名前も偽名に変えた。セレナと。セレナとセリカ、混同して間違えそうだが、なぜこの名前か?車の名前から取っただけだったりする。


 30分程進むとダンジョンの入り口が見えた。

 俺はダンジョンに入るなり、アースウォールで入り口を塞ぎダンジョンを隠蔽した。

 セリカのパワーレベリングを兼ねてのダンジョン攻略の始まりである。いかにも洞窟といった感じで岩がごつごつしている階層だ。


 セリカは俺に抱き付いてきた。


「ありがとう志郎さん。おかげで逃げられたよ。ううう辛かったよー」


 逃げられた為に気が緩んだのか泣き出してしまった。

 そして甘えてくる。

 俺は黙って抱きしめて、背中をさすった。無理もない。高校3年生でこのような状況なのだ。今までは気を張っていたのだろう。

 例え俺の命と引き換えになったとしても守ってやらないと!と思う。


 他の者は目の前に新たな勇者が現れたので感動していた。


「本妻はセリカ様になるのですね。」


 ナンシーはそう言う。正妻と本妻はどう違うのかな?似たような意味の筈だけど、この世界の話はよく分からない。

 

 と言うか、ナンシーの中では既にセリカは俺の嫁になると判断しているのか。


 入り口をよく見ると、壁に埋め込まれた魔石の様な物が有った。ナンシーに聞くと初心者ダンジョンには無いが、通常のダンジョンの場合、この転移石により行った事のある階層ならば選んで転移する事が出来るのだそうだ。階層を進んだその階層の入り口にやはり転移石が有ると言う。入り口でくすぶっていてもしょうが無いので、先に進む。


 出てくる魔物はゴブリンやらオークがメインで、正直なところ大した事は無い。

 少し中に入り、追手の心配が少なくなったのでこれからのこのダンジョンについての話をした。完全攻略をし、可能ならコアを回収する。

 10日位分の食料を持っているのと、パーティーは3つに分ける。夜営は2、3人で一組の見張りを立てる。

 また、テントと布団を用意していると。

 パーティーはブラックスワンは4人のまま。

 ブラックオニキスは俺とシェリー、ナンシー、セリカ。

 新たな構成でムーンストーンを作り直した。フレデリカがリーダーで、副リーダーはクレア。シータとエリシス、ニーベルングの5人に。レベルの近さや、強さのバランスを考えての配分だ。

 セリカとニーベルング、ブラックスワンの面々はレベルを上げるのと、戦闘訓練も兼ねて中心的に闘って貰うと。勿論やばくなったら俺が助ける。


 今は追っ手が怖いので10階までは小休止だけにして、可能なら10階まで急いで行き、そこで野営し、セリカの話をちゃんと聞く。少し気になる事があるのだ。しかし、今はとにかく時間が惜しい。


 念の為1、2階は俺が先頭で倒す。時間優先だからだ。

 セリカがいくつかレベルが上がったので、3階からはニーベルングやセリカに経験を積ませる為、2人が主に戦った。俺は気配察知にて索敵に集中した。

 程なくして地下4階に降りる。ここから地下10階迄は少しずつ魔物の数や強さが上がるが余裕だった。


 道は一本道で分かれ道はまだ見ない。また、10階はボス部屋が奥にあった。


 ボス部屋前で小休憩をした。しっかり休み、ボスに挑んで行くのであった。

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