第50話 非オークション奴隷

 何とか家具等を買うお金が残せられそうだ。

 奴隷商が言うには4番は普段の参加人数だと5千万Gには届くだろうとの事。


 もう奴隷を買う予定は無いので、残りは見るだけにした。今後の参考にしたい。


 夜伽要因で1番の子が欲しかったな。愛玩用にしか思えなかったよなぁ。そんな感じで無粋な妄想をしていると、ふとナンシーの肘が俺の鳩尾に強く当たった。最近ナンシーは鋭過ぎるな。


 最後まで見終わり引き上げる前に、奴隷商に本当なら出す筈だった奴隷を見せて貰うようにお願いをした。正確には自慢話をされ、見せて欲しいと俺が言いたくなるように誘導されていたのだ。


 この奴隷商のところにいる1番高級な奴隷で自慢の子だそうだ。


 18歳の赤毛

 80-54-80 152cm位と小柄だ。

 元王族。奴隷歴9年。

 敗戦国の姫君 

 自慢するだけあり、俺が口をぽかんと開いてしまい、つい見惚れた位に超絶美人である。


 牢に入れられているのにも関わらず、俺の事を見下した感じで見ているのが気になるが、取り敢えず面談してみる事にした。


 一通り高等な教育を受けていて、聖魔法と水魔法が得意。奴隷商で仕込んでいるが、家事全般をこなす。


 戦闘訓練は少し受けているが、盗賊から身を護る事を目的としたレベルだ。

 得意武器は槍。

 どうやら聖魔法と水魔法の組み合わせで回復魔法に特化しているっぽい。一応メイドの教育も受けている。


 ひと目見て運命を感じ、特別な存在だと魂が訴えている。見た目もそうだが、純粋にこの子が欲しい。既に3人も買ったので、怒られるかな?とオロオロして考えているとナンシーが察していた。


「どうなされますか?冒険者には向いているようには見えませんが?」


「うんそうだね。聖魔法とメイド力が有るようだから、回復役か屋敷の管理全般をお願いするのはどうだろうか?元王族だけあり、高等教育を受けているようだね」


「確かに最低でも1人は屋敷の管理要員が必要ですから良いとは思いますが、ただ、予算オーバーに成ると思いますよ。もうお金は余り残っていないと思うのですけれど?」


 そこで俺は奴隷商に確認をした。


「売るなら幾らだ?」


 1億だそうだ。奴隷商が耳元に囁いた。


「勿論処女ですし、色々仕込んでおりますよ。王族を奴隷にするのも一興でございましょう?見下した表情ですが、主に対して絶対服従としっかり教育してございます。自慢の逸品でございます」


 うーん予算オーバーなんだよね。というかお金が足りない。

 あうー!メイドも欲しいな。ふと悩んでいるとシェリーが呆れ顔で指摘をしてきた。


「何故奴隷引換券を使わないのですか?」


 すっかり忘れていた。シェリー!グッジョブだ!この奴隷との面談の為に、奴隷商は一旦部屋を出る。早速この子に聞いた。


「お前はもし自由になったら何をしたい?」


「国を滅ぼした下賤な者に復讐をしたいですわ!と言いたいのですが、それよりも可能なら母上をお救いしたいですわ」


 どうやらこの国のあのデブ王が奴隷にしており、陵辱の限りを尽くしているそうだ。


「俺が君を買い取り、もしも母親を助け出したのならば、君は俺に対して何が出来る?」


「もし可能ならば、我が身も心もそなたに捧げる覚悟がある。性奴隷として其方の欲望のはけ口にさえ喜んでなろう。」


 相当な覚悟のようだ。身を捧げるのは奴隷なのでそうなるが、心はそうではない。心から尽くすと言うのだ。


「俺はこの国に恨みがある。第2王女に小便をぶっ掛けてやり、奴隷にしなければ俺の気持ちは収まらない。王は屑だから処分したいな。俺の所へ来い。然らば母親を助ける為の力を得られるだろう!俺の元へ来たいか?」


 手を差し伸べる。

 先程までの舐めた態度は一変し、優雅に挨拶をしてきた。そして頷くと俺が差し伸べた手を握った。その瞬間電気が走り、俺の横で必死に仲間を庇いつつ死神の鎌を振るう女神の姿が一瞬思い浮かんだ。この女の姿ではない。別人だ。彼女は驚いた表情をしていた。


「仰せのままに。心を壊されし勇者よ。そなたが望むならば我は剣の一振りに成ろう。我が身を捧げるに足る絶望を超えし勇者よ。我は予言者なり。共に手を取り共に生きよう。決して己を失うな!」


 心に聞こえて来たが、その後は口から言葉を発した。


「私をお導き下さい」


 そうして俺の奴隷になる旨を伝えてきた。言葉選びをしているのは、王族だったからだろうか。


 奴隷商を呼び、引換券にて彼女を購入すると伝えた。先程の女神や予知?は一体何だったのだろうか?


 結局4人の奴隷を購入してしまった。

 シェリーとナンシーから懇願をされたが、責められはしなかった。


「奴隷を抱くのも良いですが、私達への寵愛も大事にして下さいね」


 まだ致していないのに、寵愛だなどと言われてしまった。

 この辺りの倫理観が日本と違い過ぎる。


 戻ってきた奴隷商から手続きについての説明を受けた。

 奴隷の受け取りは明日に成るそうで、今日はそのまま引き上げる。

 今日一日でご主人様の元へ赴く覚悟を持たす為に、最後の教育を行うのだそうだ。事前にしないのは、売れた事により主人が決まってからではないと心の準備が出来ない為である。


 ギルドにて奴隷商への支払い手続きを行う事となり、ギルドへ向かう事とした。


 奴隷商を引き上げる前に、金貨を少し渡した。


「出来る限り身を綺麗にし、まともな服を着せてやってくれ。それとまともな食事もだ」


 そう言うと、奴隷商はにやにやしながらメイド服はいかがですか?と囁いてきた。


「あるのか!?」


 ただ頷いた。そして俺も頷いた。それと名前を考えておいて欲しいと言われた。既に彼女らに名前は捨てさせており、仮りの名として与えられた番号で呼ばれており、大抵は命令しない限り元の名前は言わないだろうとの事だ。


 俺とナンシーはギルドへ。シェリーには服屋で今日買った奴隷達の分の服を適当に買っておいてね!と指示を出し、それぞれ別れて動いた。


 服は奴隷商が用意する服が可愛そうなのだった場合に備え、その場合その場で着させる為である。俺は奴隷であっても可哀想な服を着ている状態で連れ回す気にはなれないからだ。

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